2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671223
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Research Institution | University of Yamanashi, Faculty of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 章司 山梨大学, 医学部, 助手 (30235949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 茂 山梨大学, 医学部, 助手 (50209219)
吉井 新平 山梨大学, 医学部, 助教授 (60166907)
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Keywords | 凍結保存同種ヒト心膜 / 小児心臓外科 / 左心低形成症候群 / Norwood手術 |
Research Abstract |
1998年8月より2002年7月までに37例の心臓手術に凍結保存同種ヒト心膜(cryopreserved homograft pericardium)を臨床応用し、その遠隔調査を実施した。対象は男性26、女性11、日齢3から21歳8ヶ月(中央値4ヶ月)、移植部位は、高圧系心血管(体循環)23例、低圧系心血管(肺循環又は体静脈)19例(5例は両者)、解凍後にGlutaraldehyde処理を併用したもの35例(1例はDacronとのcomposite)、併用しなかったもの2例(1例はEPTFEとのcomposite)であった。 本研究の主たるtargetである高圧系心血管の移植部位は、Norwood手術における大動脈再建13例、Damus-Kaye-Stanse1吻合におけるpatch 5例、Ross手術におけるsplint又はKonno手術におけるpatch3例、僧房弁修復1例、左室瘤修復1例で、これらの症例の早期死亡(含在院死亡)は7例、遠隔死亡は2例で、14例の生存が得られた。15例において追跡調査が可能で、平均19.7±15.6ヶ月の期間中に凍結保存同種ヒト心膜に関連した合併症は認められなかった。人工材料の使用が困難な新生児の左心低形成症候群に対するNorwood手術症例(日齢3-10、平均5±2.4)に限ってみると、早期死亡4例、遠隔死亡2例で、7例が生存した。 一方低圧系の移植部位は、bidirectional Glenn術のpatch 5例、肺動脈・右室流出路形成10例、Senning手術のbaffle3例、他で、早期死亡1例、生存18例であった。これらの追跡調査期間は27.1±17.5ヶ月であり、凍結保存同種ヒト心膜に関連した合併症は認められなかった。 以上より、凍結保存同種ヒト心膜は術後短期の成績でみる限り、小児の高圧系(体循環)心血管の補填物としても十分に使用が可能であり、特に複雑心奇形を有する新生児においては極めて有用であると結論された。しかしながら遠隔調査期間が短いためさらなる検討が必要である。
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