2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓移植における脂肪肝移植の成績向上に向けての研究
Project/Area Number |
13671229
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
林 道廣 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90314179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
谷川 允彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00111956)
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Keywords | 肝移植 / 脂肪肝 / 冷保存 / 実験的脂肪肝 / 脂肪肝グラフト / グラフトviability / HGF |
Research Abstract |
ラットにコリン欠乏食投与による実験的脂肪肝を作成し、種々の投与日数による脂肪肝の程度、肝重量、肝機能を検討した。21日間投与において肝重量が非投与群の12gに比して18.6gと肝腫大を認めたが、体重との比は非投与群の0.053に対して0.07と、有意差を認めなかった。肝機能としてAST、ALTは投与後2ないし3週目で120/79IU/Lと最高値となり、Total cholesterol値は4週目で非投与群の67mg/dlに対して80.5mg/dlと高値を示した。病理的に判定した脂肪肝の程度は投与7日目より70〜80%であり、これは2、3、4週間投与でも変化を見なかった。 ラット肝移植後の生存率については、コリン欠乏食非投与の正常肝ではUW液中肝グラフト冷保存1、3、6、9、12時間後でも全例生存した。これに対して、コリン欠乏食2〜3週間投与の脂肪肝においては、1時間保存で100%、6時間で60%、9時間で50%、12時間で17%と、著明に保存後の生存率の低下を認めた。コリン欠乏食10日間投与群でも同様の結果を得た(6時間保存で100%、12時間で0%)。以上より、脂肪肝は正常肝に比較して、保存によるグラフトviabilityの低下が有意に大であるとの結論を得た。 この脂肪肝におけるviabilityの低下をHGFによって防止しうるか否かを検討した。肝グラフトを6時間保存した後移植を行ったが、肝ドナーのラットにHGFを全身投与したのち保存液と灌流液中にHGFを添加した群での生存率は、HGFを投与しなかった対照群の生存率が40%であったのに対して、100%と全例の生存を得た。以上より、脂肪肝移植におけるHGF投与の有用性が示唆された。
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