2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組み替え蛍光ラットを用いた移植免疫寛容誘導メカニズムの研究
Project/Area Number |
13671234
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松岡 順治 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30332795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 教授 (00245044)
田中 紀章 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10127566)
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Keywords | 移植 / 免疫抑制 / 門脈内投与 / ラット / 小腸 |
Research Abstract |
遺伝子組み替えGFP蛍光ラットを用い、ラット小腸移植におけるドナー由来抗原門脈投与における免疫寛容の誘導とその機序について検討した。遺伝子組み替えラットをレシピエントに用い通常ラット小腸をドナーとして用いることで以下のことが明らかとなった。 1、小腸移植において、移植された小腸に存在しているリンパ球は、移植後1日目で75%、3日目でその98%がレシピエント由来のリンパ球であった。 2、そのリンパ球は主として粘膜下組織に浸潤していた。 3、FK506だけの免疫抑制では拒絶のコントロールは困難であった。 さらに、遺伝子組み替えラットの脾臓、骨髄細胞をアロ抗原として用い通常ラットに門脈内および静脈内投与を行なうことで以下のことが明らかとなった。 1、門脈内投与されたリンパ球は24時間は肝臓内に留まるものの、その後急速に肝内から消失し、その殆どは脾臓内に存在する。 2、静脈内に投与されたリンパ球は門注に比して肝臓への集積が少ない。 3、脾臓内にトラップされたリンパ球は、1週間後も大量に脾臓内に細胞としての構築を保ったまま留まっている。 4、胸腺内にも少数のドナー細胞が見られる。 5、骨髄には殆ど集積が見られない。 以上のことから、門脈内アロ細胞抗原投与において、脾臓が大きな関与を行なっている可能性が考えられた。また門脈内注入と静脈内注入においては拒絶抑制効果に差があることから、肝臓においてリンパ球が何らかの変化をきたしている可能性が示唆された。門注における脾臓の意義を検討する目的で、ラット心臓移植の系において、門注後脾臓摘出を行なうと、拒絶抑制効果が消失することが明らかとなった。現在、肝臓と、脾臓に集積したGFP陽性細胞を回収し、表面抗原を解析中である。また、脾臓においてGFP陽性細胞に隣接する細胞を採取しその性状を検討中である。
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