2001 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌細胞のホルモン依存性喪失過程に伴う浸潤能の変化と低分子量G蛋白質の役割
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13671239
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
駒木 幹正 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (60215382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 栄太郎 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (50314860)
近藤 和也 徳島大学, 医学部, 講師 (10263815)
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Keywords | Rho A / Rho B / Rac-1 / breast cancer / estrogen receptor |
Research Abstract |
低分子量GTP結合蛋白質Rhoは細胞基質間接着や移動,分製に関与していることから,腫瘍細胞の転移浸潤にも関与していると考えられる。本研究では乳癌におけるRhoファミリー蛋白の発現と腫瘍細胞漫潤能を検討し,相互関係,さらにRhoファミリーとestrogen receptor(ER)蛋白発現との関係を検討した。 【estrogen receptor(ER)蛋白発現とRhoファミリー・蛋白発現の関係】 乳癌原発巣標本を対象とし,ERおよびRho A, Rho B, Rac1の蛋白発現を免疫組織化学により,それぞれ4段階に判定した。腫瘍細胞の組織学的悪性度については異型性,核分裂像頻度,腺管形成性の3要素をそれぞれ3段階に判定した。ER蛋白発現の判定は発現の強さと染色陽性細胞率から算出した指標を用いた。 【染色性】 Rho AおよびRac1の蛋白発現は腫瘍細胞においても細胞質,細胞膜部に強く染色されるものが多かったが,Rho Bは高感度ENVISI0N+Kitを用いて検討した結果,細胞膜部に染色されるものがみられた。Rho A, Rho Bともに39/46(84.8%)で明らかな発現がみられ,Rac1は33/46(71.7%)で明らかな発現がみられた。ただ,その染色性は様々なものがみられ,heterogeneityが高いものも多い。Rhoファミリー蛋白間の発現ではRho AとRac1の間にのみ有意な(P<0.0001)相関(r=0.587)がみられた。Rhoファミリー蛋白と組織学的悪性度の間で有意な関係をみたのはRho Aと腺管形成性のみであった(r=0.319, P=0.0304)。Rho A発現とER発現の間には有意な逆相関がみられた(r=-0.386, P=0.0076)。またRac1発現とER発現の間にも有意な逆相関がみられた(r=-0.457, p=0.0120)。 【浸潤能に関する実験】 ファルコン社のマトリゲル インベージョン チャンバー(Growth Factor reduced)が3T3細胞を用いた漫潤能の判定に安定した結果を得たため,本年度末よりアッセイ系を本キットとし,ケモアトラクタントとしてフィブロネクチンを用いて実験中である。
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