2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管吻合部における壁ずり応力の局所的分布とその成因に関する免疫組織学的研究
Project/Area Number |
13671264
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
石橋 宏之 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (10257660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 洋 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (00131219)
清田 義治 愛知医科大学, 医学部, 助手 (30298591)
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Keywords | 血管吻合 / 端側吻合 / 壁ずり応力 / 吻合部内膜肥厚 / 下肢血行再建術 / 晩期グラフト閉塞 / 閉塞性動脈硬化症 |
Research Abstract |
本研究は、下肢血行再建術後の吻合部内膜肥厚の成因を、端側吻合部の局所壁ずり応力測定と、吻合部内膜肥厚の免疫組織学的検討の両面から解析するものであり、本年は3か年研究の最終年である。 局所壁ずり応力測定:ウサギ総頚動脈に端側吻合術を施行し、これを基に作成した血流解析用鋳型を組み込んだ回路で、photochromic dye法で吻合部局所の壁ずり応力を測定した。吻合部壁ずり応力は、floorの近位側で-1〜-3dyne/cm^2と低値を示し、遠位は16〜29dyne/cm^2と高値であった。 免疫組織学的検討:吻合1週間後のウサギにBrdUを投与した後、吻合部の血管軸に沿った切片を作成して免疫組織染色法で吻合部の細胞分裂頻度を測定した。BrdU陽性細胞は、toe対側のfloor末梢で16%と局所的に高かった。さらに、次の実験として、吻合部の切片を血管横断面で作成し、MIBで組織学的検討を行った。このシリーズではウサギが手術死したり、吻合部閉塞が生じたため、十分な標本が得られず、残念ながら結果解析まで至っていない。 以上の実験から、BrdU陽性細胞が局所的に高かったtoe対側のfloorは内膜肥厚好発部位の一つで、流体力学的には流れのstagnation点に相当する。ここは平均壁ずり応力は低く、拍動流でstagnation点が前後に移動し、壁ずり応力が正から負の値に急激に変化する中心である。これがfloor intimal hyperplasia発生と密接に関連していることが示唆された。 これら研究成果は、平成14年5月第37回欧州外科研究学会(European Society for Surgical Research)、平成15年11月国際脈管学会アジア支部会(Asian Chapter Congress of International Union of Angiology)において発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Z.S.Jackson, H.Ishibashi, A.I.Gotlieb, B.L.Langille: "Effects of anastomotic angle on vascular tissue responses at end-to-side arterial grafts"J.Vasc.Surg.. 34. 300-307 (2001)
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[Publications] Hiroyuki Ishibashi, Y.Kiyota, H.Ikeda, M.Ojha: "Topical wall shear stress and intimal hyperplasia at end-to-side anastomosis"Proceedings of the 37^<th> Congress of the Eur.Soc.Surg.Res.. 365-368 (2002)