2001 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植に伴う拒絶反応の生体近赤外分光法による無侵襲計測
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13671271
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
金城 勝 国立循環器病センター研究所, 共通実験室, 室長 (10132929)
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Keywords | 生体近赤外分光 / 一酸化窒素 / 臓器移植 / 拒絶反応 / 波長可変レーザー |
Research Abstract |
私達は生体近赤外分光法により一酸化窒素ヘモグロビン(HbNO)を定量し、臓器移植後、3〜4日目の拒絶反応早期にHbNOが急激に増加することを観察した。移植手術後、HbNOを連続的にモニターすることにより、組織機能障害の起こる前の段階で拒絶反応の程度を評価して免疫抑制剤の投与量や投与時期を決定し、その効果などを判定し、的確な治療に資することができることを示した。従来の連続光光源のハロゲンランプを波長可変レーザーに変えることを試みた。私達の用いたものは、Nd : YAGレーザーの第2高調波を励起光とするチタンサファイアレーザーの共振器内に非同軸型の音響光学素子を導入した全固体波長可変レーザーである。この素子は複屈折性結晶の両端に圧電変換素子と超音波吸収体とを接着したもので、圧電変換素子に電気信号を印加すると結晶内に超音波が発生し、その波長間隔に等しい屈折率の周期的変化を生じ、これが回折格子と同様の作用をして、特定波長の入射光を回折(反射)する。回折光の波長や強度は超音波の波長や強度によって変化する。長時間使用すると結晶の温度が上昇し、フォノンの励起状態が変化して回折条件がずれたり結晶が破壊されたりして動作が不安定になり、実用的な生体分光測定が行えなくなる。そのため、音響光学素子の温度制御が重要であることが判明し、高感度の温度センサーにより効率よくフィードバックをかけるシステムを開発し、その安定化に成功した。また、チタンサファイア結晶の温度制御の高効率化も行い、これまで不安定で実用に供し得なかった波長領域でのレーザー発振の安定化を行い、波長可変領域を700〜1000nmに広げることができるようになった。これにより、生体内の臓器の近赤外スペクトルを体外から完全無侵襲計測することに大きく近づくことができた。
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Research Products
(1 results)