2002 Fiscal Year Annual Research Report
カンナビノイドを標的とした重症急性膵炎に対する新しい治療法の開発
Project/Area Number |
13671276
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 和憲 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20171639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20082282)
松野 正紀 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80004737)
砂村 眞琴 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10201584)
|
Keywords | 急性膵炎 / カンナビノイド / アナンダマイド / ショック |
Research Abstract |
[背景と目的]アナンダマイド(ANA)などの内因性カンナビノイドの受容体(CB1:中枢型)は中枢や血管に存在し、敗血症等で大量のカンナビノイドが放出されると、ショックを引き起こすことが知られている。急性膵炎の重症化にもショックが関与しており、重症化の機序にANAが関与している可能性がある。我々は、動物実験により急性膵炎重症化におけるANA役割を検討し、これを標的とした治療法の開発を目的に研究を行った。 [方法]Wister系雄性ラットを用い、急性膵炎モデル(軽症=セルレイン膵炎、重症=5%タウロコール酸膵炎)を作成した。各モデルにおける血中カンナビノイド(ANA)値を測定し、各種臓器でのCB1受容体発現について免疫組織学的検討を行った。また、重症群について、カンナビノイド阻害剤(CB1受容体拮抗薬)投与を行い、生存時間の変化について検討した。 [結果]ラットの重症急性膵炎モデルにおいて、血中ANA値の有意な上昇を認めた(正常ラット:329.6±47.1pg/ml,軽症:362.0±25.9pg/ml,重症:549.5±92.4pg/ml ; P<0.05)。膵・腎でのCB1受容体発現を検討したところ、重症群の腎糸球体では正常ラット、軽症群に比べて明らかにCB1受容体発現が亢進していた。重症群において、CB1受容体拮抗薬の投与により生存時間の延長が認められた。(対照群12〜24時間、投与群24〜96時間(平均48時間)。) [結語]ラットの急性膵炎重症化にはカンナビノイド(ANA)が関与しており、受容体拮抗薬投与により病態が改善する可能性が示唆された。
|