2002 Fiscal Year Annual Research Report
排便時に大腸に出現する巨大伝播性収縮波抑制による下痢治療の新しい展開
Project/Area Number |
13671277
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
舟山 裕士 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (50192315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 近 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (30270804)
佐々木 巖 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60125557)
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Keywords | 巨大伝播性収縮波 / yohimbine / 外来性神経 |
Research Abstract |
雑種成犬を用い、消化管運動測定用のstrain gauge force transducerを十二指腸、回腸2カ所、結腸5カ所、の計8カ所に縫着した。意識下で消化管運動を測定し、アドレナリンα1受容体拮抗剤であるyohimbine(0.5,1.0,3.0mg/kg)を静脈内投与し、回結腸運動と排便に対する効果を検討した。その結果、yohimbine投与により回腸と結腸に巨大伝播性収縮波(Giant Migrating Contractions : GMCs)が排便と共に誘発されることが明かとなった。以前より、排便に伴ってGMCsが起こることは報告されていたが、それを薬物で誘発できることは報告されていなかった。同じイヌを用い、yohimbineによるGMCsと排便を抑制する拮抗剤について検討した。その結果、ムスカリン受容体拮抗剤のアトロピン、ニコチン受容体拮抗剤のヘキサメソニウム、によりGMCsのみならず結腸収縮全てが完全に抑制されることが判明した。セロトニン3受容体拮抗剤のオンダンセトロンは、yohimbineによるGMGの誘発を抑制するが、抑制の程度としては、アトロピン、ヘキサメソニウムによりも明らかに弱かった。オピエイト受容体拮抗剤のナロキソン、ニューロキニン1受容体拮抗剤のFK224はyohimbineによるGMCs誘発効果に影響しなかった。次に、回結腸に分布する外来性神経を切離したイヌに対してyohimbineを投与したところ、GMCs、排便誘発効果は正常のイヌと同様に認められた。これらの結果から、yohimbineによるGMCs誘発効果はコリン受容体とセロトニン3受容体を介したものであり、外来性神経を切離しても反応が認められたことから、主としてコリン作動性節後神経に作用していると考えられた。このような結果は、GMCs抑制による下痢治療を考える際の重要な所見になると思われた。
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