2002 Fiscal Year Annual Research Report
高度進行胃・大腸癌に対する癌遺伝子HER2産物の制御に基づく新しい治療法の確立
Project/Area Number |
13671313
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
猪股 雅史 大分医科大学, 医学部, 助手 (60315330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 一弘 大分医科大学, 医学部, 助手 (70325710)
白石 憲男 大分医科大学, 医学部, 講師 (20271132)
安達 洋祐 大分医科大学, 医学部, 助教授 (90221043)
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Keywords | 胃癌 / 大腸癌 / 分子標的治療 / HER2 / マウス転移モデル |
Research Abstract |
進行・再発胃、大腸癌に対する癌遺伝子HER2産物に対する抗ヒトモノクローナル抗体(Herceptin)を用いた分子標的治療の臨床応用を目的とし、以下の研究を進行中である。 (A)Retrospective study (B)培養細胞を用いたHerceptinの癌増殖抑制の検討 (C)動物モデルを用いた癌増殖,転移抑制の検討(D)臨床応用における治療効果の評価 今年度は、(A)および(B)に関して、下記のような研究成果を得た。 (1)進行胃癌138症例を対象とし、HER2蛋白陽性群は29例(21%)であった。 (2)HER2蛋白と有意な関連を示した因子は、組織型(P<0.01)と肝転移(P<0.05)であった。 (3)根治手術をした分化型進行胃癌において、リンパ節転移とHER2陽性が独立した予後因子であった。 (4)肝転移7例中6例がHER2蛋白陽性であった。 (5)原発巣と転移巣とのHER2蛋白の一致率は32例中25例(84%)と高率であった。 (6)Herceptinの胃癌細胞株MKN7への増殖抑制は認めなかった。 これらの研究結果より、Herceptin療法は、高分化型胃癌の進行再発症例に対する分子標的治療としてその有効性が期待できると考えられた。Herceptinの抗腫瘍効果は、癌細胞に直接作用するのではなく宿主の免疫機構や癌・間質相互作用に関与する可能性が考えられた。 来年度は、これらの結果を踏まえ、ヌードマウスの動物転移モデルを用いたHerceptinの癌増殖および転移抑制の検討を行い、臨床応用をすすめる計画である。
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