2002 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌に対する新しい治療戦略-キメラ化モノクローナル抗体を用いた免疫ターゲット療法
Project/Area Number |
13671330
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
澤田 鉄二 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60275253)
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Keywords | 膵癌 / モノクローナル抗体 / ターゲット療法 / キメラNd2 |
Research Abstract |
キメラNd2抗体はin vitroにおいてヒト膵癌細胞株(SW1990)に対し抗体依存性細胞障害(ADCC)活性を誘導することが明らかとなった。ターゲット細胞SW1990に対しE/T比50としキメラNd2を0.1-100μg/ml添加した際の細胞障害活性の検討から、エフェクター細胞として末梢血単核球のみならず好中球も同等に抗体濃度依存性にSW1990の細胞障害を誘導していることが判明した。この好中球による細胞障害活性はin vitroでの同様のE/T比50としたassayにおいてFc receptor IIIの抗CD16抗体を1,10μg/ml添加にて抑制されることから、この細胞障害活性がキメラNd2を介したADCCであることが確認された。さらに好中球によるADCC活性の誘導に関してin vitroでのADCC解析時にGranulocyte-colony stimulating factor (G-CSF)を添加した結果、G-CSF 10,100ng/mlの濃度での添加にて、好中球の活性化によりキメラNd2を介した好中球細胞障害活性の増強が認められた。in vivoにおいてもヌードマウスにおけるSW1990皮下移植モデルでの解析において、キメラNd2 100μg×4回の腹腔内単独投与群ではコントロール(non-specific IgG1;100μg×4回)群およびG-CSF 1μg×4回単独投与群に比し有意な腫瘍増殖抑制効果が認められ、さらにキメラNd2 100μg+G-CSF 1μg×4回の腹腔内混合投与群ではこれら各群に比べより強い腫瘍増殖抑制効果が認められた。この混合投与群の皮下移植腫瘍での好中球エラスターゼ抗体を用いた免疫組織学的検討を行った結果、好中球の腫瘍内への強い浸潤が確認され、この腫瘍増殖抑制が好中球をエフェクター細胞としたキメラNd2によるADCC活性誘導による効果が一因であることがin vivoにおいても判明した。以上の結果により、キメラNd2を用いた膵癌に対する抗体免疫ターゲット療法におけるG-CSFなどのBRM製剤併用による抗腫瘍効果増強の有用性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Tamamori, T.Sawada, et al.: "Granulocyte-colony stimulating factor enhances chimeric antibody Nd_2 dependent cytotoxicity against pancreatic cancer mediated by polymorphonuclear neutrophils"International Journal of Oncology. 21. 649-654 (2002)