2001 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌組織における各種糖転移酵素転写産物発現の包括的・定量的検討とその臨床応用
Project/Area Number |
13671340
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 昌彦 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80146604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一色 聡一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10276264)
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Keywords | 糖転移酵素 / 大腸癌 |
Research Abstract |
近年、糖鎖合成に中心的役割を果たすと考えられている糖転移酵素遺伝子群が急速にクローニングされつつある。本研究の目的は、大腸癌検体における各種糖転移酵素遺伝子の発現をリアルタイムPCR装置を用いて定量し、癌における特徴的な変化パターンを検索することにより、これらの酵素により合成される糖鎖の、癌における生物学的役割を追求することにある。 本年度の作業としてまず、大腸癌手術症例(約30例)より大腸癌組織、周囲正常粘膜組織を採取し、凍結保存した。これらの検体からRNAを抽出した後cDNAを合成した。さらに、既知のガラクトース転移酵素、N-アセチルグルコサミン転移酵素よりいくつかの遺伝子を選定し、リアルタイムPCRのためのPCRプライマー、蛍光プローブ、標準プラスミドを設計して定量システムを作製した。 上記のシステムを用いて大腸癌組織における糖転移酵素の発現を測定したところ、β3ガラクトース転移酵素の転写産物が大腸癌において著明に減少することを見いだした。これにより、腫瘍マーカーとして知られる糖蛋白質CEAに含有される1型糖鎖が発現に伴い減少する、という以前からの観察を分子生物学的に説明できると考えた。また、本遺伝子の転写調節機構を検討した結果、腸管特異的なホメオボックス遺伝子CDX、HNF1などがβ3ガラクトース転移酵素の発現調節に関与していることが示された。 今後さらに検体数を増やすとともに、測定できる遺伝子の種類を追加してゆく予定である。
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