2002 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管新生における血小板の役割と臨床病理学的意義
Project/Area Number |
13671341
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
相浦 浩一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00184010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 健夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60317154)
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50142419)
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Keywords | 血小板 / 血管新生 / 腫瘍 / 膵癌 / VEGF / IL-8 |
Research Abstract |
腫瘍細胞が遠隔臓器に接着し,アポトーシスを免れ浸潤・増殖するためには血管新生の誘導が必須と考えられている.この腫瘍細胞の転移形成過程に血小板が重要な役割を果たしていることが指摘されてきたが,どのような機序で関与しているのかは明らかでない.そこで我々は,血小板の腫瘍血管新生における生理的役割をヒト腺癌細胞株を用いてin vitroにおける血管内皮細胞3次元培養による管腔形成により評価した.コラーゲンゲルとHUVECのみを用いた場合の管腔形成を100%とすると,HUVECに活性化血小板からの上清を加えた場合の血管管腔形成は14〜22%のみ増加した.腫瘍細胞からの上清のみが存在した場合では,HUVECの管腔形成はCapan-2で13%,MIAPaCa-2で12%,BxPC-3で17%,MCF-7で0%の増加であった.しかし,血小板と腫瘍細胞との共培養後の上清を加えると,管腔形成はいずれの腫瘍細胞でも著しく促進され,増加率は54〜80%に達した.Capan-2においては,メンブレンフィルターにより血小板と腫瘍細胞との共培養において直接接着を阻止すると,その上清の管腔形成促進作用は直接接着した場合の上清に比べ減少した.また,血小板内には元々VEGFが存在し,腫瘍細胞自身もVEGFを産生しているが,血小板と腫瘍細胞との共培養によりVEGF産生量は相乗的に増加した.以上より,血小板は可溶性因子を放出し,さらに直接接着することにより,腫瘍細胞と相互作用を行い,腫瘍細胞の血管新生を促進している可能性が示された.さらにその理由として腫瘍細胞からのVEGF産生が血小板により増強していることが一因と考えられた.
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