2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671347
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
有賀 淳 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40221056)
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Keywords | TCR / Vβ鎖 / CTL / MUC1 / がんワクチン / 合成ペプチド |
Research Abstract |
消化器癌(膵臓癌、胆管細胞癌、胆嚢癌、大腸癌)における癌抗原の発現を調べるために、当センター外科にて手術された標本の免疫染色を行った結果、ほとんどの症例にMUC1ムチン及びCEAの異常発現を認め、一部でHer2/neuの発現が認められた。この結果よりMUC1及びCEAは特異的細胞治療の標的として適していると考えられ、合成MUC1ペプチド及び合成CEAペプチドと樹状細胞を利用した研究を開始した。抗原ペプチドはMUC1及びCEAのアミノ酸配列をもとにそれぞれ100mer及び9merのペプチドを合成した。患者自己末梢血より採取した単核細胞層をフラスコにまき、付着した細胞にGM-CSFとIL-4を添加して1週間培養して樹状細胞を誘導し、この樹状細胞に合成ペプチドをパルスして自己リンパ球と混合培養することにより、抗原特異的CTLの誘導を試みた。TCRのVβレパトアを誘導されたCTLと抗CD3抗体とIL-2にて活性化したリンパ球とで比較解析したところ、抗CD3抗体/IL-2活性化リンパ球では様々なTCR Vβレパトア群が散在していたが、ペプチド提示樹状細胞にて刺激したCTLでは一定のTCR Vβレパトアが増加する傾向が認められた。このCTLはpolyclonalなT細胞群であるため、さらにクローニングを続けてCTLクローンを作成し、TCR Vβの検索を予定している。MUC1ペプチドをパルスした樹状細胞ワクチン療法の臨床実験はすでに当科にて進められており、研究参加患者のワクチン投与前後における末梢血リンパ球のTCR Vβレパトアを検索した。その結果、ワクチン投与後での末梢血には一定のTCR Vβレパトア群が増加しており、それらはin vitroで誘導したCTLのTCR Vβレパトアとほぼ一致していた。これより、MUC1ペプチドをパルスした樹状細胞をワクチンとして投与することにより、MUC1ペプチドに応答するTCR Vβレパトアを有するTリンパ球が体内で活性化されて増加している可能性が示された。
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