2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671347
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
有賀 淳 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40221056)
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Keywords | 癌抗原 / TCR Vβ / 抗原ペプチド / 免疫療法 / 特異免疫 |
Research Abstract |
ヒト癌抗原に対するT細胞の特異的免疫応答におけるTCR Vβレパトア及びCDR3を解析し、生体内における癌特異的CTL前駆細胞の動態を評価する研究を進めている。外科切除標本のRT-PCRと免疫組織染色にてMAGE-3が陽性であったHLA-A2402食道癌患者及び肝細胞癌患者において、合成MAGE-3ペプチドを提示した樹状細胞を皮下接種し、末梢血中のMAGE-3特異的CTL前駆細胞の動態を検索した。さらに患者末梢血中リンパ球をMAGE-3ペプチド提示樹状細胞にて体外で刺激培養してMAGE-3特異的CTLを誘導し、HLAテトラマーにて解析し、TCR Vβレパトアと比較して検討した。同様の手法で前立腺癌の患者に対してPSMA、白血病の患者に対してWT-1、食道癌の患者に対してNY-ESO-1の合成ペプチドを提示した樹状細胞ワクチンを投与し、末梢血中のそれぞれのペプチド特異的CTL前駆細胞の動態をHLAテトラマーとTCR Vβレパトアにて解析した。抗原ペプチド提示樹状細胞の皮下投与により、ペプチドに対するCTL前駆細胞は末梢血中でわずかに増加を認める傾向にあったが、明らかな差としては認められず、特定のTCR Vβレパトアの増加との関係は認められなかった。体外にて誘導したペプチド特異的CTLはHLAテトラマー陽性細胞が増加し、いくつかのTCR Vβ鎖がポリクローナルに増加し、抗原ペプチドに対応するTCR Vβレパトアのモノクローナルな増加は明らかではなかった。患者末梢血からのCTLクローン作成は困難であり、クローンを用いたCDR3解析は今後の課題である。現時点で、癌抗原に対する特異的CTL前駆細胞の動態評価にはHLAテトラマー解析とTCR Vβレパトアの両面からさらに研究を進める必要があり、新たな計画を検討している。
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