2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的プロモーターを導入した組換え単純ヘルペスによる転移性肝癌治療の研究
Project/Area Number |
13671356
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
豊田 昌夫 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (80207654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 允彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00111956)
奥田 準二 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20278518)
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (90209916)
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Keywords | 増殖性組み換え型単純ヘルペス / 癌特異的プロモーター / survivin / CEA / 転移性肝癌 |
Research Abstract |
平成14年度は昨年度に作成した腫瘍特異性を有する組み換え型単純ヘルペスの改良並びに動物実験を以下の通り行った。 (1)ヘルペスウイルスの改良 昨年度に樹立した組み換え型単純ヘルペス(以下HSV-surv)は増殖活性の選択性は認められたもののsurvivin高発現株での増殖活性が予測していたより弱かったため、survivin promoterの上流に4F2蛋白のenhancerを組み込んだ。この結果ウイルスの増殖活性が増大した。HSV-CEAは増殖活性が上がらず以下の動物実験には使用しなかった。 (2)HSV-survを用いた動物実験 (a)皮下腫瘍モデルを用いた腫瘍縮小効果の検討。 ヌードマウスの皮下腫瘍に対する治療効果を検討したところsurvivin高発現株あるhepG3、Panc1での腫瘍縮小効果は認められ、またsurvivin低発現株であるLovoでは腫瘍縮小効果は認められなかった。一方、HSV-survの対照として用いた組み換え型単純ヘルペスウイルスhrR3はHSV-survに比べ腫瘍縮小効果は著明であったがHSV-survに見られたような腫瘍選択性は認められなかった。 (b)転移性肝癌モデルを用いたウイルス効果の検討 上記の腫瘍細胞を脾注し転移性肝癌モデルを作成した。当初、肝動脈内に留置したカテーテルからのウイルス投与を計画したが手技的に困難であり且つウイルス投与が不確実になるためウイルスを脾臓に投与し経門脈的にウイルスを肝臓内へ投与した。この結果対照のhrR3は著明な腫瘍縮小効果をみとめたもののHSV-survでは腫瘍効果を認めなかった。これはHSV-survの増殖活性がまだ不十分であることに起因すると考えられ、今後はさらなるウイルスの改良やウイルスプロモーターの活性を上げる腫瘍細胞内の環境の検討等が望まれる。
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