2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入による肝硬変に対する肝切除限界の拡大と肝不全防止の研究
Project/Area Number |
13671358
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
植木 孝浩 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10309461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 春樹 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60111043)
竹内 雅春 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00258162)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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Keywords | 肝硬変 / 大量肝切除 / 肝不全 / HGF / 遺伝子治療 / アポトーシス |
Research Abstract |
肝硬変合併例における肝切除後肝不全に対しHGF遺伝子を用いた治療を試みた。肝硬変モデルはジメチールニトロサミン(DMN)を4週間腹腔内投与し作成した。このモデルに全肝の70%にあたる大量肝切除術を行うと約40%のラットは術後7日までに死亡し、さらにDMNの投与を再開すると術後17日までに全てのラットか死亡した。一方肝切除に先立って経門脈的にHGF遺伝子を残存肝となる部分に遺伝子導入することにより対照群に見られた術後早期の死亡は回避され、21日目でも約半数のラットが生存した。正常ラット群、対照群、遺伝子導入群(HGF群)において本年度は以下の検討を行った。 1.肝重量の再生率の変化:何れの群においても術後24時間までは再生の兆しは無く、その後再生が開始されるが、対照群ではその立ち上がりが悪くかつ最終再生率も低値であった。一方HGF群では正常群と同等の回復が観察された。 2.肝細胞増殖能の変化:1.の結果を裏付ける如くHGF群では肝切除時において著しい細胞分裂像が観察され、肝切除後も旺盛な肝細胞分裂像が観察された。 3.肝切除早期のサイトカインの変化:術後早期に変動し重要な役割を来たすと考えられているIL-1β、IL-6、TNFαについて検討した。現在データを解析中である。 4.アポトーシスに関与する因子の検討:アポトーシスの検出はTunel染色にて施行した。術後早期におけるTunel染色では、対照群に比しHGF群の陽性細胞は明らかに減少していた。また対照群に見られたアポトーシス誘導に働く因子BAXはHGF群では抑制されており、一方BCL2,BCLXLに代表されるアポトーシス抑制物質は術後早期にHGF群で増加を示した。 現在までのところHGF遺伝子導入が肝再生の促進のみならず、肝障害を保護するような働きを示し術後早期の肝不全防止に関与しているものと推測した。
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[Publications] 植木孝浩: "遺伝子治療学の現状と未来:肝硬変症"日本臨床. 59. 152-156 (2001)
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[Publications] 植木孝浩: "外科学の進歩と再生医学:HGFを用いた肝再生"外科. 63. 279-285 (2001)
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[Publications] 植木孝浩: "疾病克服への細胞増殖因子研究:肝硬変治療とHGF"Molecular Medicine. 38. 320-327 (2001)
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[Publications] 植木孝浩: "肝硬変は可逆的疾患か:HGF遺伝子導入による肝硬変の治療"消化器科. 32. 407-413 (2001)
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[Publications] Jiro Fujimoto: "Liver cirrhosis"Springer-Verlag, Japan. 125 (2001)