2001 Fiscal Year Annual Research Report
制癌剤による消化管粘膜障害発現機序の解明とその毒性軽減に関する実験的研究
Project/Area Number |
13671365
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
是永 大輔 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (90170414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 雅之 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (40330972)
野添 忠浩 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (90325457)
犬塚 貞明 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40258596)
安田 光宏 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (90269043)
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Keywords | 腸管粘膜透過性 / Nitric oxide / 化学療法 |
Research Abstract |
【背景】菌血症、敗血症性ショック、虚血再潅流などの侵襲によって腸管粘膜透過性が亢進することはよく知られているが、化学療法による腸管粘膜バリアー機能障害の発現機序については解明されていない。本実験ではラット胃切除モデルに経口抗癌剤を投与し、手術侵襲と抗癌剤投与が及ぼす腸管粘膜障害の程度や粘膜透過性の亢進について検討した。 【方法】Sprague-Dawleyラット(n=6)を用いて、次の実験群を設定した。 A群:胃切除・化学療法いずれも旋行せず(コントロール群) B群:胃切除のみ施行 C群:化学療法のみ施行 D群:胃切除後に化学療法を施行 化学療法としてUFT 45mg/kgを7日間および14日間連日経口投与した。腸管粘膜透過性は、開腹下にfluorescein isothiocyanate-dextran (FITC-D)を静脈内投与した後、腸管内に漏出すFITC-D量を測定して評価した。血清一酸化窒素(NO)はグリース反応を用いて蛍光分光測光法で測定した。細胞間接着因子CD44について免疫疫組織学的に検索した。 【結果】化学療法を施行したC群、D群における腸管内FITC-D漏出量は、A群、B群に比して有意に増加した(P<0.001)。血清NO値はC群、D群だけでなくB群でも有意に上昇した(P<0.05)。回帰分析の結果、FITC-D漏出量と血清NO値の間に有意な正の相関が認められた(r=0.617、P<0.001)。組織学的分析にて、化学療法群では小腸絨毛上皮の萎縮とCD44の発現低下が顕著であった。 【結論】抗癌剤の投与は上皮の細胞間結合や細胞・マトリックス結合の減弱を介して腸管粘膜のバリア機能を障害し、粘膜透過性の亢進を惹起するが、その現象にNOの過剰発現が関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ngahama S, Korenaga D, Honda M et al.: "Assessment of the intestinal permeability after a gastrectomy and the oral administration of anti-cancer drugs in rats : Nitric oxide release in response to gut injury"Surgery. 131巻1号. S92-S97 (2002)