2002 Fiscal Year Annual Research Report
左室補助人工心臓装着患者における免疫異常の分子生物学的モニタリング法の開発
Project/Area Number |
13671387
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20314312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊田 悟 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90311753)
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30263247)
澤 芳樹 大阪大学, 医学部付属病院, 助教授 (00243220)
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Keywords | 左室補助人工心臓 / panel reactive antibody / 心臓移植 / リンパ球 |
Research Abstract |
末期重症心不全患者に対する左室補助人工心臓(LVAS)装着はその適応を広げつつあるが、装着中に起こる免疫応答異常が、易感染性、アロ抗体産生による心臓移植手術後の液性拒絶反応といった問題を惹起する可能性があると考えられている。これらの免疫応答異常を解析することを本研究の目的とした。これまでに計36人の心移植待機患者から径時的に血清を採取し、抗T細胞(HLA class I)および抗B細胞(HLA class IおよびII)に対する抗体を検出し、その陽性率から% panel reactive antibody(%PRA)を算出し10%以上を陽性とした。LVAS装着患者17例中4例(23.5%)、非装着患者19例中1例(5.3%)において抗class I抗体陽性を認め、LVAS装着はアロ抗体産生の有意の危険因子であった。LVAS患者4例のうち1例では約2年の経過中徐々に%PRA低下し陰性となり、心移植を行ったが術後液性拒絶反応を認めた。他の2例ではLVAS装着後14,32%と軽度高値であったが、LVAS装着中に自然に陰性化した。残り1例はLVASに関連した感染症を持続的に認め感染性心内膜炎から死亡した症例であったが、約10ヶ月の経過中%PRA値は80-93%と高値で推移した。この症例での血中IL6,IL8値は前3例に比し有意に高値で推移し、持続的高サイトカイン血症がアロ抗体産生に関与している可能性が示唆された。以上から心移植待機患者において、補助循環装置の装着はアロ抗体産生の有意の危険因子となり、血中炎症性サイトカイン値のモニタリングは%PRA値の変化に関する有用なモニタリングとなりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Masai T, Sawa Y, Ohtake S, Nishida T, Nishimura M, Fukushima N, et al.: "Hepatic dysfunction after left ventricular mechanical assist in patients with end-stage heart failure role of inflammatory response and hepatic microcirculation"Ann Thorac Surg. 73. 549-555 (2002)
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[Publications] Matsumiya G., Nishimura M, Miyamoto Y, Sawa Y, Matsuda H: "Successful treatment of Novacor pump pocket infection by omental transposition"Ann Thorac Surg. 75. 287-288 (2002)
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[Publications] Nishimura M, Ohtake S, Sawa Y, Fukushima N, Matsumiya G, et al.: "Severe aortic valve fusion after nearly three years of support with the Novacor left ventricular assist system"J Thorac Cardiovasc Surg. 124. 179-180 (2002)
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[Publications] 松宮護郎, 松田暉: "心不全の外科治療"内科. 91. 487-490 (2003)