2002 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞(胚性幹細胞)から分化誘導させた心筋細胞の心筋梗塞不全心への移植
Project/Area Number |
13671401
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Research Institution | NARA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷口 繁樹 奈良県立医科大学, 第三外科, 教授 (90183467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 洋 奈良県立医科大学, 第三外科, 助手
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Keywords | ES細胞 / 心筋細胞 / 心筋梗塞 / 細胞移植 |
Research Abstract |
ES細胞(胚性幹細胞)から分化誘導させた心筋細胞の心筋梗塞不全心への移植 今回の研究の目的は、ES細胞から分化させた心筋細胞を梗塞心筋に移植し、生着するかどうかを確認することにより、心筋細胞移植のドナー細胞として、ES細胞由来の心筋細胞を用いることが出来る可能性を検討することであり、(1)未分化なES細胞(胚性幹細胞)を心筋細胞に分化させることが出来るか(2)ES細胞より分化させた心筋細胞が梗塞心筋に生着するかの順に検討した。 (1)については、マウス由来の未分化なES細胞を分化抑制物質を取り除いた状態で約7日間浮遊培養し、培養皿に付着させることにより、自己拍動する細胞群が出現すること、この自己拍動する細胞には心筋細胞特異遣伝子(alph-MHC, MLC-2v)が発現しており、培養期間により発現する遺伝子が変化し、拍動する細胞が心房筋細胞から心室筋細胞へと変化していくこと、また、同細胞の活動電位の測定により、培養初期の細胞は洞結節型の活動電位を有し、培養10日目頃から心室筋細胞型の活動電位を有する細胞が出現することを確認した。 (2)については、ラットの冠状動脈を結紮することにより作成した心筋梗塞モデルの心筋梗塞と正常心筋の境界部に上記の細胞を移植し、移植10日目,30日目に上記の細胞に組み込まれているGFPタンパクによる発色よって移植細胞が梗塞心筋においても生着していること、また、同時に行ったsarcomeric myosin染色によって移植された細胞が筋細胞へ分化していることを確認した。 以上の結果により、分化抑制物質を取り除いた状態で約7日間浮遊培養することにより、未分化なES細胞を心筋細胞に分化させることは可能であり、また、同細胞が梗塞心筋に生着することが可能であることも確認した。これらの結果は、心筋細胞移植のドナー細胞として、ES細胞由来の心筋細胞を用いることが出来る可能性を示す。
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