2001 Fiscal Year Annual Research Report
移植肺免疫寛容誘導におけるVitamin-D誘導体の効果検討及び機序解析
Project/Area Number |
13671418
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
米田 敏 福岡大学, 医学部, 助手 (90309922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 昭憲 福岡大学, 医学部, 講師 (50248506)
河原 克信 福岡大学, 医学部, 助教授 (80152990)
白日 高歩 福岡大学, 医学部, 教授 (20038863)
|
Keywords | 臓器移植 / 肺 / ラット / 拒絶反応 / Constimulatopry signal / Tryphostin A / Dihydroxyvitamin D3 |
Research Abstract |
臓器移植における拒絶反応を抑制する為、Tリンパ球活性化におけるCostimulatory signal(2nd signal)を抑制する事により、いわゆるAnergyを誘導し免疫学的寛容を達成する試みが積極的になされている。 本研究では当初はこの点に着目し、Costimulatory signal blocker作用を有すると示唆されている1,25-Dihydroxyvitamin D3(Vitamin-D誘導体)の効果を検討する予定であったが、ラット同種移植肺移植モデルを用いた予備実験ではDihydroxyvitamin D3は明らかな肺拒絶反応抑制効果を有しないことが判明した。他の臓器移植モデルでは効果を証明しているものもあり、肺においてこれが無効であるとの機序は更に検討の必要があり新たな実験系の構築を検討中である。 現在のところ上記とは別の次の研究ステップとして、本研究計画プロトコールに明記した「リンパ球成熟化における3rd signal blockerの効果の検討」、即ち「Tryphostin化合物(3rd signal blocker)の肺急性拒絶反応に対する効果」を検討している。Tryphostin AG490はT細胞内のJAK3 autokinase活性を抑制し、更にγcサイトカインIL-2、IL-7、IL-9、IL-15の影響をブロックする事が明らかとなっている。更にAG490はサイトカインによるT細胞増殖およびallograft rejectionの中断に加え、JAK3及びStat 5a/5b Serine kinaseを抑制するがIL-2R鎖のmRNAには影響しない事が分かっている。 研究は我々のラット肺移植モデル(BN→F344)を用いて行い、(1)無処置群、(2)AG490投与群、(3)AG490+既存の免疫抑制剤(サイクロスポリン)投与群の3群を設定し、同種肺移植片の生着延長効果を検討している。生着期間の効果については術後胸部レントゲン及び組織片の病理学的検討を行った。現在のところ無処置群は術後7日目までに完全に拒絶されるが、AG490投与群は若干の生着延長効果が認められるものの有意差を検出するに至っていない。今後は投与量或は投与タイミングを変更することにより、その差がより明確に出来るよう検討を重ねる。これらの免疫学的検討、サイトカイン動態の評価については匹数を重ね、最終的に統計処理を行い、免疫寛容誘導の機序について解析を進める予定である。
|