2002 Fiscal Year Annual Research Report
移植肺免疫寛容誘導におけるVitamin-D誘導体の効果検討及び機序解析
Project/Area Number |
13671418
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩崎 昭憲 福岡大学, 医学部, 講師 (50248506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 武史 福岡大学, 医学部, 講師 (10216179)
川原 克信 福岡大学, 医学部, 助教授 (80152990)
白日 高歩 福岡大学, 医学部, 教授 (20038863)
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Keywords | Lung / Transplantation / Rejection / Janus Kinase / Calcineurin / Tyrphostin-AG490 |
Research Abstract |
本研究はCostimulation signalを抑制すると考えられているDihydroxyvitamin D3の効果をラット肺移植モデルを用いて検討する予定であった。しかし予備実験の結果これに明らかな効果が期待できない事が判明した為、最近新しく提唱されているTリンパ球分化におけるJak3-Stat5シグナル伝達経路すなわちSignal 3の阻害因子として注目を集めているTyrphostin化合物の拒絶阻止効果を検討する研究に方向を転換した。Tyrphostin化合物としてTyrphostin-AG490を用いた。既に確立しているラット左肺同所移植-拒絶反応モデルを用い、AG490の肺急性拒絶反応における抑制効果を検討した。ドナーにBN、レシピエントにF344ラットを使用した。移植後AG490の5-20mg/kg投与を術後7日間施行し、胸部レントゲン撮影を経時的に行い非投与群との移植肺生着期間の差を検討した。拒絶抑制の最終的な評価は病理学的拒絶反応スコアで行った(拒絶反応無所見=0、強反応=4)。結果:AG490(20mg/kg/day)High dose群および、Low dose群(10mg/kg/day)は、胸部レントゲンスコア及び病理学的拒絶反応スコア双方でコントロール群と比較しdose dependentに拒絶反応抑制作用があることを明らかにした。しかしAG490投与により移植片の長期生着は得られなかった。Signal 3の抑制で同種肺移植拒絶反応がコントロール可能であることが示唆されたが、Toleranceを誘導するには至らなかった。したがってSignal 3阻害因子の拒絶反応抑制効果は単独でその発効を期待するよりCyclosporine AあるいはFK506との併用によりその投与量を減少させ、副作用軽減に寄与させるなどの可能性が検討されるべきと考えた。現在までに追加実験として低濃度FK506とAG490の併用群を設定し効果判定を行ったが低濃度FK506群に比しFK506+AG490群は明らかな拒絶反応抑制を示すに至らなかった。
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