2001 Fiscal Year Annual Research Report
種々の分子ターゲッティングによる中性子捕捉療法の基礎的研究
Project/Area Number |
13671420
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
能勢 忠男 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (10009699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 晋吾 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50292553)
松村 明 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90241819)
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Keywords | 中性子捕捉療法 / 分子ターゲッテイング / ホウ素 / ガドリニウム / 悪性グリオーマ」 / 神経膠芽腫 / ガンマ線治療 / アルファ線治療 |
Research Abstract |
初年度においてはガドリニウム化合物による中性子捕捉療法の基礎的実験を行った。 【対象と方法】 ラットを用いた実験脳腫瘍、下肢腫瘍において新規ガドリニウム化合物であるGd-BOPTAを用いてこれまでのGd-DTPAと比較検討した。方法としては両化合物を静脈内投与、または局所投与して、magentic resonance imaging(MRI)にてその増強効果の推移を観察し、さらに時間ごとに腫瘍を摘出し、そのガドリニウム濃度をICP-AES装置にて定量した。さらにこの動物モデルを用いて中性子捕捉療法の照射実験を行った。In vitroの中性子照射実験も行った。 【結果】 Gd-BOPTA投与群ではGd-DTPAと比較してより高濃度にしかも長時間腫瘍内に化合物が滞留することがあきらかとなった。これはMRI,ICP-AESの両者において証明された。この結果をもとに行ったラット下肢移植腫瘍モデルの中性子捕捉療法照射実験においても、コントロール群<中性子照射群<中性子+Gd-DTPA群<中性子+Gd-BOPTA群の順に腫瘍の成長抑制効果が大きく、統計的にも有意差(P<0.05)が得られた。In vitroでは同濃度のGd-BOPTAとGd-DTPAを培養液に入れて照射したが、Gd-BOPTAの方が細胞致死効果が強かった。 【考察と結語】 本年度行った実験より、Gd-BOPTAは優れた中性子捕捉療法化合物であることが明らかとなった。これはGd-BOPTAが高濃度、長時間滞留する性質に由来すると解釈できる。しかし、同濃度のガドリニウム存在下に照射した細胞実験でもGd-BOPTAとGd-DTPAに細胞致死効果の違いがみられており、細胞内分布の違いがある可能性が考えられた。次年度はその分子ターゲッテイングのメカニズムも解明していきたい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 松村 明, 山本哲哉, 柴田 靖, 能勢忠男ら: "原子炉を用いた悪性脳腫瘍の治療、中性子捕捉療法"日本原子力学会誌. 43. 957-963 (2001)
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[Publications] Zhang T., Matsumura et al.: "Comparison of two Brain Tumor-Localizing MRI Agents : GD-BOPTA and GD-DTPA.- The study of Magnetic Resonance Imaging and Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy with Rat Brain tumors"American Journal of Neuroradiology. 23. 15-18 (2002)
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[Publications] Shibata Y., Matsumura A. et al.: "Competitive uptake of porphyrin and LDL via the LDL receptor in glioma cell lines : flow cytometric analysis"Cancer Letters. 166. 79-87 (2001)
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[Publications] 松村 明, 山本哲哉, 柴田 靖, 能勢忠男: "グリオーマ。新しい治療法の展開。熱外中性子捕捉療法"Clinical Neuroscience. 90. 344-345 (2001)
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[Publications] 高野晋吾, 坪井康次, 松村 明ら: "悪性グリオーマに対するPAV(Procarbazine, ACNU, Vincristine)療法の効果"Neuro-oncology. 11. 45-50 (2001)
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[Publications] 松村 明: "特集 : 産業・医療における中性子利用の現状とその展開。中性子医療照射(中性子捕捉療法)の立場から。"波紋(中性子科学会誌). 11. 14-15 (2001)
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[Publications] Matsumura A., Nose T. et al.(分担): "Clinical protocol using new neutron irradiation facility(JRR4) at JAERI. In : Frontiers in Neutron Capture Therapy Vol.1, pp283-287"Hawthrone MF, Shelly K, Wiersema RJ eds, ., Plenum Press, New York. 1469 (2001)