2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671430
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 勤 浜松医科大学, 医学部付属病院, 助手 (90313957)
西澤 茂 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (40135257)
横田 尚樹 浜松医科大学, 医学部付属病院, 助手 (00273186)
小出 昌代 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40324347)
太田 誠志 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80283365)
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Keywords | medulloblastoma / wnt signal / hedgehog signal / subtractive Cloning / differentially expressed genes / cerebellum / oncogenesis / development |
Research Abstract |
脳腫瘍は小児の固形腫瘍として最も発生頻度が高く、その中でも髄芽腫は悪性脳腫瘍として最も重要な腫瘍である。最近の分子生物学の進歩とTurcot症候群とGorlin症候群という2つの髄芽腫を先天的に発症する家族性疾患の解析に伴い、小脳の顆粒細胞由来の脳腫瘍である髄芽腫はWnt signalとHedgehog signalの異常によって発生することが判明したが、その分子機構の詳細は未だ不明である。一方、近年ヒトゲノム計画の進展により、ヒトゲノムデータベースはほぼ完成し、それに伴いヒトの遺伝子の総体は判明しつつある。現在の課題はこれら同定された遺伝子群のどれが様々な疾患に関与しているかを解析することである。本研究ではまずヒト髄芽種組織を用い、そのmRNAを抽出し、正常ヒト小脳組織との間でSuppression Subtractive Hybridization法を用いて髄芽腫のSubtractiveライブラリーを作成した。本ライブラリーをスクリーニングし髄芽腫で特徴的に発現する遺伝子群を同定したところ、Drosophila BarH-like 1のmammalian homologueであるBARHL1,neural tube吻側部のmastergeneといわれるhomeobox gene OTX2,神経細胞のneuriteの進展に関与するといわれるUnc33-like protein(ULIP),neuronatinなどの発生過程のrhombic lipや小脳外胚細胞において発現し機能している発生関連遺伝子群、the nuclear matix protein NRP/B(ENC1),SOX4などのWnt signalを構成する遺伝子群、SAM68,CROPなどの腫瘍関連遺伝子群などこれまで本腫瘍への関与が指摘されていなかった多くの遺伝子群が同定された。さらにHedgehog signalに異常を持つPTCノックアウトマウスに発生する髄芽腫を用いて同様の解析を行い、G1サイクリンの一つであるcyclin D2,神経幹細胞に発現するRNA binding proteinであるMusashi-1,Protein phosphatase主要なインヒビターの一つであるprotein phosphatase 2A inhibitor-2(i-2PP2A),C. eleganceにおいて最初に同定され、Axonの伸長や神経細胞の生存にも関与していると言われるUnc5H4(D),発生過程の胸腺のgrowth factorでもあるthymopoietinなどが新たに同定された。さらに35例の髄芽腫症例の腫瘍サンプルにおいてこれらの同定された遺伝子群の発現をRT-PCRにて半定量的に調べたところ2/3以上の多くの症例で高発現していることが判明した。また約20種類以上の様々な人の癌のCell lineにおいてこれらの遺伝子群の発現を解析したところ、BARH1,OTX2,neuronatin, Unc5H4などで髄芽腫特異的な発言が証明された。これら髄芽腫特異的遺伝子群は髄芽腫の腫瘍形成機構、腫瘍の分化形質などの髄芽腫の細胞学的特性の決定に重要な役割を果たしているものと推測されたが、これらの遺伝子群の本腫瘍における詳細な機能解析に関しては今後の課題として残された。
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Research Products
(1 results)