2001 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスベクターを用いた脳腫瘍ワクチン療法の開発
Project/Area Number |
13671437
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
梶原 浩司 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (90253161)
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Keywords | 脳腫瘍 / アデノウイルスベクター / ワクチン / IL-4 / B7.1 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
マーカー蛋白β-galactosidaseを産生するアデノウイルスベクター(AdRL)IL-4を産生するアデノウイルスベクター(AdIL4)、Tリンパ球活性化に必要なセカンドシグナルであるB7.1を産生するアデノウイルスベクター(AdB7)、外来蛋白を何も発現しないアデノウイルスベクター(Ad0)を293細胞内で増殖させ塩化セシウムを用いた密度勾配遠心法にて濃縮、精製した。それぞれのベクターのtiterはAdRL:2.8×10^9pfu/ml、AdIL4:2.0×10^9pfu/ml、AdB7:3.0×10^9pfu/ml、Ad0:2.0×10^9pfu/mlであった。 C3H/Heマウス由来培養マウスグリオーマ(RSV-M glioma)細胞にAdRLを種々の濃度(MOI=1,10,50,100,200,500,1000)、感染時間(1,3,6,24,48,72時間)を用いて感染させ、X-gal染色にて遺伝子発現を、また細胞増殖曲線より細胞毒性を観察してアデノウイルスベクターの至適感染条件を決定した。遺伝子発現は用量依存性に増加したが、MOI500以上では細胞の膨化、増殖能の低下が見られ、MOI200が感染に至適であった。AdIL4を上記で決定した至適条件でRSV-M glioma細胞に感染させその培養上清中のIL4をELISA法にて測定しIL4産生を確認した。IL-4発現量はMOI200で72時間感染させた培養上清にて568.6pg/ml(5×10^5 cells/10ml)であった。AdB7も同様にしてRSV-M glioma細胞に感染させ、RSV-M glioma細胞上のB7.1発現を免疫組織化学的手法を用いて確認し、ほとんどすべての細胞にB7.1陽性所見を得た。 AdIL4、AdB7、AdRL、Ad0を上記で決定した至適条件でRSV-M glioma細胞に感染させRSV-M glioma細胞の成長解析を行いこれらベクターによる直接的抗腫瘍効果をin vitroで解析した。In vitroでは各ベクターおよびベクター非感染腫瘍細胞間で腫瘍細胞の成長曲線に差を認めず、これらベクターによる直接的抗腫瘍効果はないことが確認された。
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