2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671439
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中嶌 教夫 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (00332817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 浩一 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (90225938)
佐野 壽昭 徳島大学, 医学部, 教授 (80154128)
永廣 信治 徳島大学, 医学部, 教授 (60145315)
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Keywords | 脳動脈瘤 / 平滑筋細胞 / マクロファージ / BTEB2 |
Research Abstract |
平滑筋細胞は筋フィラメントに富み収縮に適した収縮型から、筋フィラメント量が少なく蛋白合成が盛んな合成型に変換すると、細胞外マトリックスを大量に分泌し増殖因子の発現を高める。我々は平滑筋細胞の形質変換の転写因子であるbasic transcription element-binding protein 2(BTEB2)に対する抗体を用い免疫組織学的に脳動脈瘤壁におけるBTEB2の発現を調べた。その結果、BTEB2は10mm以上の大きさの未破裂動脈瘤壁あるいは血栓内に存在するマクロファージと動脈瘤壁の平滑筋細胞に陽性を示した。すなわちヒト脳動脈瘤壁の中膜由来の層に存在するBTEB2陽性のマクロファージと平滑筋細胞は脳動脈瘤の成長と破裂防止の機序に何らかの役割を担っていることが示唆された。今回はBTEB2陽性の平滑筋細胞が合成型であるかどうかの確認はできなかった。またBTEB2のmRNAレベルでの発現をin situ hybridizationを用いて検討する予定であったができなかった。今回の研究ではBTEB2は平滑筋細胞の形質変換の転写因子以外、たとえば動脈瘤内の血栓化などの多くの作用を有していることが示唆されたが、詳しい検討、研究はしていない、しかし破裂動脈瘤と未破裂動脈瘤ではBTEB2の発現に違いが認められ、また大きさによっても差異が生じた。したがってBTEB2の働きを研究することは脳動脈瘤の破裂を防いだり、極めて予後不良である巨大脳動脈瘤の発生を防いだりする治療の開発に役立つのではないかと考えている。
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