2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体内に存在する分化誘導因子の同定と脳腫瘍に対する分化療法への応用
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13671442
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮園 正之 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (70325463)
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Keywords | NT2細胞 / 分化 / 移動 / 移植 / 胚細胞癌 / 基底核 / マウス / 播種 |
Research Abstract |
新生児マウス(P0)のくも膜及び軟膜のprimary cultureと、基底核のみを顕微鏡下にdissectionしたのちprimary cultureを別々のシャーレに行った。培養翌日から、NT2細胞を前もってカバースリップに培養していたものと、cocultureを行った。Cocultureは細胞同士が直接接触せずに、液性因子のみが培養液内で共有できるようにした。2日間のcocultureの後にBrdUを投与して6時間、24時間のインキュベーションを行った。その後、カバースリップを固定し抗BrdU抗体を用いて免疫染色をおこなった。陽性細胞をカウントして、BrdUラベリングインデックスを測定した。コントロールは、なにもはやしてないシャーレにNT2細胞を培養し、同様のプロトコールでおこなったものを用いた。 結果:コントロールのBrdUラベリングインデックスを100とすると、くも膜及び軟膜のprimary cultureとcocultureをおこなった群は、101.5±3.7、基底核のprimary cultureとcocultureをおこなった群は、76.7±6.0であった。この結果からくも膜と軟膜では増殖の抑制効果はなく、基底核から何らかの増殖抑制因子が出ていることが示唆された。当初は成人マウスの基底核をdissectionしてprimary cultureをおこなったが、培養が難しく、安定した実験を遂行する事が困難で途中で断念せざるを得なかった。ただ、今回の結果から新生児の基底核でも何らかの増殖抑制因子が出ていることが証明された。NT2の脳内移植実験では基底核内に移植するとNT2細胞は増殖力を減じ、分化の方向に向かった。これは移植するホスト側の発達段階で規定されていると当初は予測していたが、新生児でも分化因子は基底核に存在することがわかった。次に、新生児脳のbrain sliceとNT2細胞のcocultureをおこなう実験を現在進行中である。
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[Publications] Amano T, Inamura T, Wu CM, Kura S, Nakamizo A, Inoha S, Miyazono M, Ikezaki K: "Effect of single low dose irradiation on subventricular zone cells in juvenile rat brain"Neurol Res. 24. 809-816 (2002)