2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671466
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Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 講師 (60200177)
屋田 修 順天堂大学, 医学部, 講師 (30265996)
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Keywords | 羊膜細胞 / 脳虚血 / 移植 / 神経細胞 / 神経再生 |
Research Abstract |
目的:効率的な培養羊膜細胞の樹立を確立すると共に、脳虚血モデルの作成と移植再生治療の可能性を探求する。 方法:(1)培養羊膜細胞の樹立:妊娠16ないし17日目の妊娠ラットより採取した羊膜から培養羊膜細胞を樹立した。Neurobasal medium(Gibco)により培養を行い、培養開始3日目の未分化な状態の浮遊羊膜細胞を下記(3)(4)の実験に使用した。(2)脳虚血モデルの作成:6〜8週齢のWisterラットを用いて開頭を行い、左中大脳動脈(M1)を凝固・切断し(田村モデル)、左大脳皮質に脳梗塞巣を作成した,約一週間の生存を確認した後断頭し、2,3,5-TRIPHENYLTETRAZOLIUMCHLORIDEにて梗塞巣を確認した。(3)培養羊膜細胞への遺伝子導入:上記(1)の培養羊膜細胞にレトロウイルス・ベクターを用いてGFP遺伝子を導入した。(4)培養羊膜細胞の脳内移植:正常Wisterラットの海馬及び上記(2)のモデル動物脳(虚血部)に上記(1)(3)の培養羊膜細胞を定位脳手術的に移植した。移植後2〜8週に動物脳を潅流固定、羊膜細胞の存在する脳切片を作成し、羊膜細胞が動物脳内に生着するか否かを確認した。 結果:(1)妊娠17日目のラットから採取した浮遊羊膜細胞が最も細胞量を確保し得たと共に細胞生存度も最も良好であった。(2)GFP遺伝子導入に関しては、導入は確認されたが効果的な導入効率を確立するまでには至らなかった。(3)正常ラット脳内への移植により、移植後2週間の時点で羊膜細胞は生着し、神経細胞様に分化を認めた。さらに、羊膜細胞は移植後8週間の時点においても生着生存を認めると共に移植部から宿主脳内を移動することも確認された。梗塞モデルへの移植では、梗塞巣と生存細胞巣との境界部において、羊膜細胞の一部生着が認められた。 結論:本研究により、羊膜細胞を用いた脳内細胞移植が脳虚血性疾患の神経再生治療の一つとなり得る可能性が示唆された。
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