2002 Fiscal Year Annual Research Report
腰部神経根障害の病態生理学的研究-異所性発火動態の解明-
Project/Area Number |
13671482
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90167924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹光 正和 旭川医科大学, 医学部, 助手 (30312466)
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Keywords | 神経根 / 坐骨神経痛 / 電気生理学 / 異所性発火 / 腰部脊柱管狭窄症 / ラット / 間歇性披行 / 髄核 |
Research Abstract |
間歇性披行は腰部脊柱管狭窄症の特徴的症状であるにもかかわらず、その発現機序は解明されていない。本研究では披行時に生ずる下肢異常感覚の起源となる神経根異所性発火を指標として、鬱血および虚血負荷の影響、下肢神経活動増強の影響、交感神経賦活の影響、さらに手術的除圧、薬剤投与の影響を実験的に検討している。行動学的に間歇性披行を再現する実験モデルとして、ラット腰椎(L3,L5)硬膜外腔にシリコンラバーを挿入した腰部脊柱管狭窄動物を作製した。対照として無処置動物を用意した。異所性発火計測では動物を除脳・非働化し、神経根由来の異所性発火を腓腹神経より逆行性に導出記録した。狭窄群では鬱血および虚血負荷開始後から発火頻度は持続的に漸増し高頻度発火に至るとともに、血管解放後は速やかに元の発火頻度に戻る現象が観察された。動物の後枝を電気刺激にて賦活すると、軽度ながら一過性の異所性発火増強が見たれた。また、交感神経を電気刺激により賦活した場合にも異所性発火増強が見られた。無処置対照群の全例ではいずれの負荷や刺激によっても発火頻度の変化は乏しかった。すなわち、狭窄症動物では知覚神経節細胞の感受性増強が生じており、歩行負荷にもとづく神経根血行動態の変化、神経活動の変化、交感神経系の賦活に反応して異所性発火を増強することが間歇性跛行の病態における重要因子と推定された。血行動態については本年度から馬尾血管の顕微鏡下観察、さらにレーザードップラー法による血流量測定を併用して解析を開始した。一方、狭窄症の治療として用いられる手術的除圧および薬剤投与が異所性発火にいかなる影響を及ぼすかについての解析にも着手した。以上の解析を次年度において終了できる見込みである。本研究は腰部脊柱管狭窄症における症状と知覚神経系の機能変化との対応をはじめて明らかとしたものとして国内外の学会および学術雑誌に発表する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Onozawa T, Atsuta Y, et al.: "Nitric Oxide Induced Ectopic Firing in Rats with Cauda Equina Compression"Clinical Ortohp. and Related Res.. (in press). (2003)
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[Publications] 武田直樹, 熱田裕司: "馬尾腫瘍の痛みと治療成績"整形災害外科. 45. 121-125 (2002)
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[Publications] 恒川博巳, 熱田裕司: "神経性間欠性跛行に対するプロスタグランディンE1の影響"日本整形外科学会雑誌. 76(8). S992 (2002)
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[Publications] 猪川輪哉, 熱田裕司: "神経性間欠性跛行の発現機序-鬱血負荷と異所性発火の関係から"日本整形外科学会雑誌. 76(8). S1027 (2002)
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[Publications] Atsuta Y. et al.: "Pathohysiology and treatment of radicular pain : The role of catecholamine and other neuromediators in neuropathic pain"Kopin IJ, et a;. 51-60 (2002)