2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経移行と神経幹細胞移植を用いた新しい脊髄損傷架橋モデルによる脊髄再生実験
Project/Area Number |
13671492
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
四宮 謙一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20111594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 聰一郎 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 助教授 (10242190)
小森 博達 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (60262169)
岡部 繁男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60204012)
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Keywords | 脊髄再生 / 神経幹細胞 / 移植 / 細胞移動 / オリゴ・デンドロサイト |
Research Abstract |
従来、損傷された中枢神経は再生しないとされてきた、培養神経幹細胞を損傷脊髄に移植することによって神経、軸索の再生が可能であると報告が最近報告されまた、損傷脊髄への末梢神経移填が行われ、切断された軸索の再生が認められたという報告もされている。我々のモデルは、損傷脊髄に両者を組み合わせた方法を用い、よりよい再生を目指すものである。神経幹細胞は、由来組織によってホスト脊髄内での生着、含化様式は異なると考えられ、これについて十分検討されていない。そのため損傷モデル作製、移植実験の則段階としてドナー細胞である神経幹細胞のホスト脊髄内での分化・移動・生着などの特性を解析する必要があり、研究をおこなってきた。 今回、正常脊髄内にラット胎児海馬由来神経幹細胞を移植し、移植細胞の生着、分化様式について検討した。神経幹細胞の培養は、過去に報告されているように無血清培地と成長因子(FGF)を用いた。増殖した大部分の細胞は、神経幹細胞のマーカーであるネスチンの発現を認め、この培養法によって神経幹細胞が増殖していることがわかった。増殖し存神経幹細胞に組み換えアデノウイルスを用いてlacZ遺伝子を導入することにより標識し、生後7日ラット脊髄の灰白質に注入した。移植1週後に免疫染色法で観察するとLacZを発現した移植細胞が多数生着していた。全生着細胞の95%は、背側白質に存在し、頭尾側方向に広範な移動を示していた。また、移植細胞の大部分がオリコデンドロサイトに分化していた。 移植細胞の活発な白質に沿った移動とオリゴデンドロサイトへの分化傾向によって胎児海馬由来神経幹細胞は、損傷された軸索再生に有利に働くと考えられた。損傷モデルに歩いても分化したオリコデンドロサイトは移植末梢神経周囲に移動し錐体路を含む下行性伝導路の再建を導く可能性が示唆された。
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