2001 Fiscal Year Annual Research Report
機械刺激によって骨芽細胞の増殖因子受容体に起こる変化とその役割
Project/Area Number |
13671493
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
緒方 敏子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80014314)
|
Keywords | 機械刺激 / 骨芽細胞 / EGF受容体 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
骨の恒常性維持には機械刺激が不可欠である。本研究の目的は骨芽細胞が機械刺激に反応するメカニズムの解明である。培養系で、骨芽細胞に培養液流動という刺激を加えると、MAPキナーゼ、Shcを含む様々な蛋白のチロシンリン酸化が昂進し、egr-1やfosといったearly response geneが誘導される。これらの反応は増殖因子刺激による反応に類似している。そこで、機械刺激によって増殖因子受容体の変化が誘導されるか、否か、を検討することとした。取り上げる受容体としては、最もよくその機能や構造がわかっているEGF受容体(EGFR)とした。ウェスタンプロッティングの結果は、EGFRの蛋白量が1分間の培養液流動刺激後2分以内に1.4倍程度増加することを示した。この増加には培養液中にEGFを必要とすることから、EGFシグナルの関与が考えられた。しかし、EGFR蛋白は、EGFの刺激を受けると、二量体となり、クラスリン被覆小胞に取り込まれ、エンドサイトーシスを受け、エンドソームを経て、プロテアソームによって分解され、急速に減少することが分かっている。従って、本研究にて見出されたEGFR蛋白量の増加という現象は、EGFシグナルが関わっているとすれば、EGFシグナルの減少の結果と考えられる。ところが、EGFRキナーゼ活性阻害剤、チロシンキナーゼ活性阻害剤存在下に於いても、クラスリンを介するエンドサイトーシス阻害剤、エンドソームの酸性化阻害剤、プロテアソームによる蛋白分解阻害剤存在下に於いても、機械刺激後のEGFR蛋白量の増加が見られた。従って、このEGFR蛋白量の増加は、EGF刺激によって誘導されるEGFR輸送と直接的な関係にはなく、EGFR蛋白の寿命に関わる他のメカニズムがあると推測された。現在、そのメカニズムについて、また、このことが骨の恒常性維持にどのように関与しているか研究中である。
|
Research Products
(1 results)