2001 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板ヘルニア退縮機序における血行新生過程の解明と生理的椎間板ヘルニア溶解術の開発
Project/Area Number |
13671494
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
波呂 浩孝 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10313264)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 博達 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (60262169)
|
Keywords | 椎間板ヘルニア / 自然退縮 / 血行新生 / 血管内皮細胞増殖因子(VEGF) / Matrix Metalloproteinase(MMP) / 生理的椎間板ヘルニア治療 |
Research Abstract |
成人の正常椎間板組織は無血管野である。一方、腰椎推問板ヘルニアの検体には血管新生と炎症性細胞の浸潤を認めることが多い。腰椎椎間板ヘルニア保存治療例を対象に造影MRI検査を行うと、脱出型椎間板へルニアには多く造影効果を認め、また造影されたヘルニア塊は多くの場合自然退縮することがわかった。 今回、椎間板ヘルニアにおける血管新生や炎症性細胞の組織浸潤のメカニズムについて、血管新生促進因子であるVEGFに着目して検討した。これまで我々は椎間板ヘルニアの急性期炎症を反映するモデルとして椎間板組織とマクロファージを共培養するシステムを開発し、軟骨の構成成分を強力に分解する能力をもつMLP-3やMMP-7、炎症性サイトカインであるTNF-αが強発現をすることを確認しているが、今回はマウス軟骨細胞であるATDC-5とマウスマクロファージ細胞であるWEHI-3Bを用い、それぞれの細胞培養液にマウスリコンピナントTNF-α、VEGF、抗TNF-α中和抗体を加えて培養を行った場合の変化を経時的に調べた。ATDC-5を培養後2日目に採取したRT-PCRでは、MMP-3、MMP-7、VEGFの発現が見られた。マウスリコンピナントTNF-αを加えた場合、培養後2日目、4日目でMM-3の発現が増強され、6日目には低下していた。VEGFの発現も培養4日目で増強された。VEGFを加えた場合、培養後2日日MMP-3、MMP-の発現が増強されたが4日目には元に戻っていた。VEGFにより活性化されMMPsを活性化するといわれているurokinase-type Plasminogen activater(u-PA)は2、4、6日目共に何も加えない場合と変化なく発現していた。一方、WEHI-3BではMMP-7、VEGFが強く発現していた。マウスリコンビナントTNF-αを加えた場合、培養後2日目でVEGFの発現が抑制され、抗TNF-α中和抗体を加えた場合、培養後2日目からMMP-7の発現が抑制された。u-PAの発現は認めなかった。 以上より、TNF-α、VEGF、MMP-3、MMP-7の相互間で、軟骨細胞側、マクロファージ側でそれぞれ制御のカスケードがあると思われるが、他の分子の動き、あるいは反応早期の動きをさらに詳しく調べる必要がある。椎間板ヘルニアの退縮過程で血管新生を分子により制御可能となれば、促進因子を増強することにより生理的にヘルニア治遼が行える可能性がでてくると考えている。
|