2001 Fiscal Year Annual Research Report
損傷脊髄に対する神経栄養因子発現ベクターを用いた遺伝子導入法の検討
Project/Area Number |
13671499
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
内田 研造 福井医科大学, 医学部・整形外科, 助手 (60273009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 久敏 福井医科大学, 医学部・整形外科, 教授 (00165060)
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Keywords | 脊髄損傷 / 遺伝子治療 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
平成13年度 (1)神経栄養因子発現ベクター(非ウイルスベクター)の作製 (2)神経栄養因子導入アデノウイルスベクターの作製 (3)損傷モデルラットの作製とベクター注入 (4)組織化学的観察 脳心筋炎ウイルス由来で減弱化したinternal ribosome entry site(pIRES)、enhanced green fluorescent protein(EGFP)配列を含むpIRES-EGFP vectorに対してrat brain-derived neurotrophic factor(BDNF)cDNAのcloningを行い、BDNF-Myc-His/pIRES-EGFP vectorを作製した。β-galactosidase遺伝子(LacZvirus)および神経栄養因子BDNFを組み込んだ非増殖型アデノウイルスベクターをCOS-TPC法にて作製した。14-16週齢雄性Wister Rat(体重:400-500g)を用い、麻酔下にTh8, Th9椎弓切除を行い、硬膜外より60gの重錘で1分間圧迫し脊髄不全損傷モデルを作製した。損傷直後BDNF-Myc-His/pIRES-EGFP vectorベクターをLipofectAMINEと混合(lipofectin method)、損傷部位へマイクロシリンジで1μl min-1(total 10μl)の髄内投与を行った。アデノウイルスベクターについても同様に注入した。1)BDNF-Myc-His/pIRES-EGFP vectorベクター:注入された試薬(GFP陽性領域)は灰白質内に停滞しており、経時的に減少していった。その周囲の灰白質、白質にはGFP陽性細胞が散在しており、その数は損傷後3、5日でピークでありその後減少していった。抗BDNF抗体陽性細胞は損傷後増加、以後プラトーとなっており、損傷後3、5日では全GFP陽性細胞が抗BDNF抗体陽性となっていた(陽性率100%)。抗GFAP抗体陽性細胞も同様に損傷後3、5日で増加し8日目ではGFP陽性細胞よりも有意に増加、14日ではGFP陰性細胞が45%〜65%を占めていた。2)アデノウイルスベクター:抗BDNF抗体陽性細胞は損傷後、頭尾方向に増加していった。損傷後3、5日ではおよび14日目で2峰性の曲線となり、画像上(同一横断切片)での抗BDNF抗体陽性細胞数は非ウイルスベクターの約100倍以上となっていた。
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