2001 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイドの呼吸抑制作用における延髄呼吸リズム形成中枢ニューロンの役割
Project/Area Number |
13671557
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧田 恒一 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (80261311)
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Keywords | 呼吸中枢 / オピオイド / ノシセプチン / 新生ラット脳幹脊髄標本 / 免疫組織染色 / C-Fos / 中枢性化学受容体 |
Research Abstract |
【1】Nociceptinの延髄呼吸中枢に対する作用が、古典的オピオイド受容体を介するのか、ORL1受容体を介するのかを新生ラット脳幹脊髄標本により検討した。 (方法)新生ラット脳幹脊髄標本を用い、古典的Mu-,Delta-,Kappa-オピオイド受容体拮抗薬ナロキソン10μMまたは選択的ORL1受容体拮抗薬Compound B 10μMで前処置後、Nociceptin 10nMと拮抗薬を同時投与し、拮抗薬のNociceptinの呼吸回数減少作用に及ぼす影響を調べた。 (結果)Nociceptinは濃度依存性に呼吸回数を減少させた。ナロキソンは、Nociceptinの作用を拮抗することはできなかった。Compound Bは、単独投与では呼吸回数に影響を与えなかったがNociceptinの作用を拮抗した。 (結論)延髄の呼吸リズム形成中枢において,Nociccptinは抑制性の神経修飾物質としての役割をにない、その作用は古典的なオピオイド受容体ではなく、ORL1受容体を介することが明らかとなった。 【2】オピオイドの呼吸抑制の主たる作用部位が延髄の化学受容体であるかを調べるため、免疫組織染色の手法により、延髄二酸化炭素感受性細胞がMuオピオイド受容体を持つかを検討した。 (方法と結果)ラットを10%CO_2,21%O_2に2時間暴露後、麻酔下に灌流固定、脳幹を摘出し、c-FosとMu-オピオイド受容体を免疫組織染色法により2重染色した。CO_2暴露により、延髄腹側部にc-Fosが発現した。一方C-Fos発現細胞には、Mu-オピオイド受容体は確認できなかった。 (結論)延髄腹側部に存在する二酸化炭素感受性細胞は、Mu-オピオイド受容体は持たなかった。この結果により、Mu受容体作動薬の呼吸抑制の主たる作用部位は延髄の化学受容体でない事が明らかとなった。
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