2002 Fiscal Year Annual Research Report
特発性肺胞蛋白症の病勢、及び治療効果を判定・予測する臨床的手法の開発
Project/Area Number |
13671565
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山田 芳嗣 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30166748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉橋 清泰 横浜市立大学, 医学部, 講師 (50234539)
中田 光 国立国際医療センター研究所, 呼吸器疾患研究部, 室長 (80207802)
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Keywords | 特発性肺胞蛋白症 / 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 / 自己抗体 / 中和抗体 / 重症度 / モニタリング / 治療効果 / 抗原認識部位 |
Research Abstract |
・サンプルの収集 採取承諾を得た患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)、血液サンプルを収集した。過去のサンプルと併せて、通算で血清は120検体程度集まった。 ・特発性肺胞蛋白症(IPAP)患者における抗GM-CSF自己抗体の性状解析及び重症度との相関の検定 平成13年度までの研究で、抗GM-CSF自己抗体が、IPAPに特異的に発現している事を示した。さらにこの抗体の性状を分析し、疾患の重症度との関連を調べた。IgG subclassに対する抗体を用いたsandwich ELISA法により、自己抗体がポリクローナル抗体である事がわかった。またGM-CSFのアミノ酸配列を部分的に合成したペプチドや、disulfide結合を切断したり、トリプシン消化したヒトリコンビナントGM-CSFとの結合をdot blot法、sandwich ELISA法で検討した結果、自己抗体が、GM-CSF分子の立体構造を認識する事を確認した。IPAP患者の臨床的重症度を、room airでの動脈血酸素分圧(Pa02)、肺胞-動脈血酸素濃度解離(AaD02)、及び自覚症状で分類し、これと関連する指標を検討した。現在までのところ、血清自己抗体価は臨床的重症度との有意な相関を認めていないが、ヒトリコンビナントGM-CSFの皮下注療法が有効であったスイスの患者では、治療後のBALF中自己抗体価が著明に低下しており、病勢との相関の可能性が示唆された。epitope specificなマウスの抗ヒトGM-CSFモノクローナル抗体との、GM-CSFに対する結合の拮抗実験で、患者自己抗体がアミノ酸残基78-94を認識するマウスモノクローナル抗体と強く拮抗することが判明した。また自己抗体の認識部位は重症化に伴って、78-94アミノ酸残基付近に集中する傾向が認められた。疾患重症度との関連性をもつパラメータにつき、引き続き研究を続ける予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 中田 光, 内田寛治, 濱野栄美, 寺川貴裕, 慶長直人: "特発性肺胞蛋白症の抗GM-CSF自己抗体をめぐる諸問題.開け放たれたパンドラの箱"Molecular Medicine. 39(12). 1398-1404 (2002)
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[Publications] 中田 光, 内田寛治, 寺川貴裕, 慶長直人: "肺胞蛋白症の病因と抗GM-CSF自己抗体"呼吸器科. 1(1). 60-66 (2002)
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[Publications] 内田寛治, 中田 光, 寺川貴裕, 慶長直人: "特発性肺胞蛋白症の成因と診断"呼吸. 21(7). 619-625 (2002)
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[Publications] 中田 光: "肺胞蛋白症のブレークスルー:新しい治療・診断・病態解明へ向けて"細胞. 34(6). 224-225 (2002)
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[Publications] Nagayama H, Misawa K., Tanaka H, Ooi J, Iseki T, Tojo A, Tani K, Yamada Y, Kodo H., Takahashi TA, Yamashita N, Shimazaki S, Asano S.: "Transient hematopoietic stem cell rescue using umbilical cord blood for lethally irradiated nuclear accident victim"Bone Marrow Transplat. 29(3). 197-204 (2002)
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[Publications] Du H-L, Ohtsuji M, Shigeta M, Chao DC, Sasaki K, Usuda Y, Yamada Y: "Expiratory asynchrony in proportional assist ventilation"Am.J.Respir.Crit.Care.Med.. 165. 972-977 (2002)
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[Publications] Nagano O, Fujii H, Morimatsu H, Mizobuchi S, Goto K, Katayama H, Hirakawa M, Yamada Y.: "An adult with ARDS managed with high-frequency oscillatory ventilation and prone position"J Anesth. 16. 75-78 (2002)
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[Publications] 原田高志, 宮下徹也, 山田芳嗣: "症例検討「気管狭窄と麻酔管理」"Lisa. 9(8). 814-818 (2002)
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[Publications] 大塚将秀, 磨田裕, 山田芳嗣: "ARDS-呼吸管理法-"呼吸器科. 2(2). 116-121 (2002)
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[Publications] 山田芳嗣, 山口徹, 北原光夫 総編集: "今日の治療指針2002年度版 (機械的人工呼吸法 pp72-74)"医学書院. 1527 (2002)
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[Publications] 山田芳嗣, 丸川征四郎編集: "ナースの質問119 (人工呼吸器モニターを看護ケアに活かす pp193-195)"南光堂. 275 (2002)
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[Publications] 山田芳嗣, 丸川征四郎編集: "ナースの質問119 (PVカーブの読み方 pp196-198)"南光堂. 275 (2002)
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[Publications] 小出康弘, 山田芳嗣, 花岡一雄, 真下節, 福田和彦編集: "臨床麻酔学全書(上) (肺循環 pp54-74)"真興交易(株)医書出版部. 899 (2002)