2001 Fiscal Year Annual Research Report
脂溶性シグナル分子である内因性カンナビノイドの疼痛伝達における役割
Project/Area Number |
13671574
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠村 徹太郎 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (60263068)
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Keywords | カンナビノイド / CB1受容体 / シナプトソーム |
Research Abstract |
カンナビノイドは鎮痛薬として有用であるが、幻覚などの精神作用が強く臨床使用には難があるとされてきた。しかしオピオイドやアルファ2アゴニストなど他の鎮痛薬の作用を増強する効果があれば十分臨床応用可能である。われわれはシナプトソームでアルファ2アゴニストによるグルタミン酸の放出抑制を明らかにした。カンナビノイド受容体(CB1)はシナプトソームに多量に存在することからカンナビノイドの鎮痛薬としての可能性を明らかにするため、今年度は各種CB1アゴニニスト、アンタゴニストの収集をし、これらを用いてラット大脳のシナプトソームからのグルタミン酸の放出反応について調べることを目標にした。 購入あるいは譲渡を受けたカンナビノイドアナログは、アナンダミド、2-アラキドニルグリセロール、2-オレイルグリセロールである。これらを用いて30mMKCl,1mM4-APおよび1uMイオノマイシンで処理したときのラット大脳由来のシナプトソームからのグルタミン酸の放出反応の変化を観察した。カンナビノイドアナログによる抑制効果は弱いか再現性が薄く、時には2-オレイルグリセロールでも抑制が見られたりなど、カンナビノイド受容体に対する特異性に疑問が残る反応であった。 CB1受容体の分布は大脳基底核に最も多いことが知られている。大脳皮質を中心にとったシナプトソームの標本では基底核の含有率によりその反応が異なってくる可能性がある。また、これらのカンナビノイドアナログはいくらか不安定な物質であり、保存中に不活化している可能性も否定できない。今後、シナプトソームの精製法及びアナログの純度などの検討を重ねていく予定である。
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