2001 Fiscal Year Annual Research Report
全身麻酔薬の脳内生理活性ペプチドに及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
13671576
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬川 一 京都大学, 医学研究科, 助手 (60263076)
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Keywords | ストレス反応 / 吸入麻酔薬 / ベンゾジアゼピン / GABA系 / オヒノイド系 / 亜酸化窒素 |
Research Abstract |
臨床研究:我々は揮発性吸入麻酔薬が交感神経及び内分泌ストレス反応を用量依存的に抑制しないことを報告した。一方近年麻酔薬の作用部位として、GABA_Aレセプターの重要性を示すデータが集積しつつある。実際ベンゾジアゼピンは揮発性吸入麻酔薬の作用を増強する。すなわち麻酔薬の最小肺胞濃度(MAC)を低下させることが知られている。そこで揮発性吸入麻酔薬とベンゾジアゼピンの併用が内分泌ストレス反応に及ぼす影響を検討した。その結果、ベンゾジアゼピンであるミダゾラムをセボフルランに併用してもACTH及びバソプレッシンの反応はセボフルラン単独の場合と差がないことが明らかとなった。 動物実験:ラットを用いて、挿管全身麻酔下に開腹刺激を加え、同時に採血を行える開腹刺激モデルを作成したこのモデルではイソフルラン麻酔下で開腹刺激によって、人の臨床例と同様に血中ACTH及びカテコラミン濃度が著明に増大することを確認した。さらにイソフルラン1.4%(約1MAC)単独とイソフルラン0.7%と亜酸化窒素70%(合計約1MAC)で麻酔した場合の、開腹刺激に対するACTHの反応の大きさを比較した。その結果、亜酸化窒素を用いた方が用いない場合と比較してACTHの反応の大きさは約半分に減少することが確認できた。臨床研究の結果から亜酸化窒素の持つこのストレス反応抑制効果はGABA系を介するものでないことは明らかである。今後、このモデルを用いて、ストレス反応の抑制効果が亜酸化窒素による脳内オピオイド系の賦活によるものであるか否かを検討していく予定である。
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