2002 Fiscal Year Annual Research Report
N-アセチルシステインが脳虚血障害後のミトコンドリア機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
13671581
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武田 吉正 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30294466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40108171)
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Keywords | ミトコンドリア / フリーラジカル / 虚血再灌流 |
Research Abstract |
脳虚血後の神経細胞死はネクローシスとアポトーシスによりもたらされる。ネクローシスは、ミトコンドリア機能の低下に伴うエネルギー障害が本態である。一方アポトーシスはミトコンドリア膜電位の低下に伴うチトクロームCの遊出により引き起こされる。このように、ミトコンドリアの機能異常は虚血性神経細胞障害の拡大に大きく関与しているが、ミトコンドリアの保護を目的とした治療法は試みられていない。ミトコンドリアは電子伝達系を有するため活性酸素が発生しやすく、虚血性障害の重要な原因となっている。生体は内因性の抗酸化物質や抗酸化酵素を有しているが虚血再潅流により活性が低下すると考えられている。内因性抗酸化酵素活性を経時的に観察することで、新たな治療法を開発することが可能になる。ラットに4-vessel occlusion法で10分間の全脳虚血を負荷した。再潅流0,3,24,72時間後に脳組織を取り出し、冷生理食塩水中で部位別(大脳皮質、海馬、線状体、視床)に分割しホモジネートし、ホモジネート中のSOD活性、カタラーゼ活性、ペルオキシダーゼ活性を測定した。その結果、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼの活性は再灌流24時間まで、海馬、大脳皮質線状体、視床、脳幹において変化が認められなかった。しかし、再潅流72時間後の海馬では全酵素活性の上昇が認められた。虚血に脆弱な海馬で酵素活性の上昇が認められたことで、虚血性神経細胞障害の発生に活性酸素が重要な要因となっていることが示された。
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