2001 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝から見た神経組織の虚血耐性メカニズムの解明
Project/Area Number |
13671594
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
北野 敬明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (20211196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 直子(西丸 直子) 大分医科大学, 医学部, 助教授 (60101086)
岩坂 日出男 大分医科大学, 医学部, 助教授 (90175216)
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Keywords | 脳虚血耐性現象 / 燐核磁気共鳴法 / 乳酸 / 高炭酸アシドーシス |
Research Abstract |
大分医科大学に設置されているNMR装置(Bruker社製AMX300WB)を用いて、ラット全脳スライス標本からリン化合物のスペクトルを現在測定している。現在、脳切片作成装置改良等の脳スライス作成方法の変更により、長時間(約12時間)にわったって、安定した燐化合物スペクトルが測定できるようになった。 脳虚血後には細胞内アシドーシスが生じており、虚血後の一病態として重要であり、この病態のメカニズム解明は、脳虚血耐性現象メカニズムの解明に役立つと考えられる。現在、高炭酸ガス環境下で全脳スライスを細胞内アシドーシスで前処置した後に、2回目の高炭酸アシドーシスを負荷した状態で、高エネルギー燐酸化合物のクレアチン燐酸、ATP濃度低下が防げるかどうかを現在検討している。二酸化炭素は細胞膜を容易に通過して重炭酸となり細胞内pHを低下することが知られておりCO_2分圧を5%から40%(細胞内pHで7.3〜6.6)まで低下させた場合、1回目のアシドーシス時、クレアチン燐酸は40%程度に低下したものが、前処置した場合は60%程度までしか低下しなかった。この事から、虚血前負荷と同様に、高炭酸アシドーシス前負荷ラット全脳スライスにおいては、引き続く高炭酸アシドーシス時に高エネルギー燐酸の低下を防ぐメカニズムを獲得している。さらに日本ブルーカー社の協力で、クレアチン燐酸核とATPの燐γ核移動速度をNMR飽和移動(Saturation Transfer)法で求め、その化学反応速度が高炭酸アシドーシス下で変化していないかどうか現在検討中である。 また免疫染色により、乳酸トランスポーターを同定する研究も同時進行中で、乳酸トランスポーターだけでなく、ニューロフィラメント抗体を用いた免疫組織染色を行い、トランスポーターが染まった部位がニューロンかグリアを弁別するための作業も行っている。
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