2001 Fiscal Year Annual Research Report
制御不能の出血性ショックに対する低血圧蘇生の有用性に関する実験的検討
Project/Area Number |
13671613
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
青木 克憲 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (20124927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 和彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90296715)
並木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20189195)
相川 直樹 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40110879)
葉 季久雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00327644)
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Keywords | ショック / 出血モデル / 外傷 / 蘇生 / 血栓 / トノメーター / 酸素代謝 / 臓器障害 |
Research Abstract |
目的 制御不能の出血性ショックモデル(ビーグル犬、体重13〜16kg)を用い、止血確保までの2時間における低血圧維持(平均動脈圧60mmHg)群、正常血圧維持(平均動脈圧100mmHg)群の2群について、全身酸素代謝、重要臓器の潅流障害、破綻血管部の凝固状態、出血量の比較、止血後の再潅流障害、臓器障害、生存率を比較した。 結果 1.制御不能の出血性ショックモデルの作成 大腿動脈から15分間で(体重値×7%×1/2)量の脱血後、平均動脈圧(MAP)は40mmHgに下降し、次に、腹部大動脈に4mmの損傷(Tear)を加えた結果、A群(無処置群n=3)では、1時間以内に死亡した。 2.B群(低血圧蘇生群n=5)、C群(正常血圧維持群n=5)のMAPは、脱血後20分でそれぞれ、48.0±5.3、50.3±16.2mmHg、腹部大動脈損傷後、修復までの60分間、輸血および輸液により、それぞれ59.3±36.1、109.0±19.0mmHg(P<0.05)で維持された。損傷を修復後、輸液による蘇生を開始し、蘇生開始15分後それぞれ、96.3±38.8、100.7±21.0mmHg、30分後、111.0±11.0、99.3±31.1mmHg、60分後、100.3±8.3、91.3±39.5mmHgであった。以上より、大量出血時における1時間20分の血圧維持を低血圧および正常血圧の2群に差別することができた。 3.全身酸素代謝、腸管の潅流障害(胃粘膜Pco2)は、2群間に有意差を認めなかった。 4.C群は、B群に比較し、Hb、Ht、血糖値、pH値の低下および血清Naの高値をを認めた。これは、C群における大量輸液の影響が考えられる。破綻血管部の凝固状態(血栓の形成)は、B群において良好であり、全例、再開腹時には止血されていた。腹腔内出血量は、B群128±45、C群240±80ml(P<0.05)であった。 5.72時間生存率は、B群100%(5/5)、C群20%(1/5)(P<0.05)であった。生存例6例の臓器標本および血液検査で臓器障害を認めなかった。死亡例については、検索中である。 以上より、大量出血に対して、大量輸液による正常血圧蘇生は生存率の向上に貢献しない可能性が示された。次年度は、実験動物数を増やし、原因追及をさらに進める。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Katsunori Aoki: "Elevation of plasma free PAI-1 levels as an integrated endothelial response to severe burns"Burns. 27(6). 569-575 (2001)
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[Publications] 青木 克憲: "胃粘膜PrCO_2による多臓器不全の予知に関する検討"日本救命医療学会雑誌. 15(1). 53-59 (2001)
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[Publications] 青木 克憲: "ショック"外科と代謝・栄養. 35(1). 53-57 (2001)
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[Publications] 青木 克憲: "外傷とSIRS、CARS"医学のあゆみ. 196(1). 33-38 (2001)
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[Publications] 青木 克憲: "消化管粘膜pHモニタリング"救急医学. 25(7). 795-800 (2001)
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[Publications] 青木 克憲: "重症外傷・広範囲熱傷の栄養管理"静脈経腸栄養. 16(3). 3-7 (2001)
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[Publications] 相川直樹, 青木克憲: "救急データブック"中外医学社. 351 (2001)