2002 Fiscal Year Annual Research Report
制御不能の出血性ショックに対する低血圧蘇生の有用性に関する実験的検討
Project/Area Number |
13671613
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
青木 克憲 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20124927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 雅良 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (20180622)
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Keywords | 出血性ショック / 実験モデル / 蘇生 / 輸液 / 組織酸素代謝 / アシドーシス / 生存率 / 動脈血酸素分圧 |
Research Abstract |
制御不能の出血性ショックモデル(ビーグル犬、体重13〜16kg)を作成し、止血確保までの45分間における正常血圧維持(平均動脈圧100mmHg)群(A群)、低血圧維持(平均動脈圧60mmHg)群(B群)、低血圧(平均動脈圧60mmHg)かつ動脈酸素分圧を約600Torrに維持した群(C群)の3群について、全身酸素代謝、重要臓器の潅流障害、破綻血管部の凝固状態、腹腔内出血量に比較、止血後の臓器障害、生存率を比較した結果、 1.A群において正常血圧に可及的に戻すためには、大量の晶質液と短時間の大量輸血投与が必要であった。A群の腹腔内出血量は有意に多く、その原因として、不十分な血栓形成、凝固因子の希釈化、血液粘性の低下による血栓形成部の血流抵抗の減弱、正常血圧による血栓の破綻が考えられた。 2.輸液投与量を制限する低血圧蘇生は、45分間の短時間であれば、生体は良く耐え、組織酸素代謝障害による臓器障害も72時間まで発現しなかった。しかし、100%酸素下、動脈血酸素分圧を500〜600Torrに増加させたC群では、組織酸素代謝障害の悪化とアシドーシスを防止できた。 3.72時間生存率は、有意にB・C群が良好であった。A群の死因は、急性胚不全と考えられた。 以上より、制御不能の出血性ショックモデルにおいて、大量輸液による正常血圧蘇生は生存率の向上に貢献しない可能性が示された。異常の方針が治療の標準として採用されるためには、臨床においてさらなる検討が必要である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Aoki K.: "Elevation of plasma free PAI-1 levels as an integrated endothelial response to severe burns"Burns. 27(6). 569-575 (2001)
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[Publications] Ng W.: "Characteristics of elderly patients presenting to the emergency department with injury"Keio J Med. 51(1). 11-16 (2002)
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[Publications] Suzuki M.: "Correlation between QT dispersion and burn severity"Burns. 28(4). 481-485 (2002)
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[Publications] Nakamura I.: "Caridiopulmonary arrest induced by anaphylactoid reaction with contrast media"Resuscitation. 53(2). 223-226 (2002)
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[Publications] Yoshino A.: "Enhanced secretion of tissue plasminogen activator by simultaneous use of retinoic acid and ascorbic acid from tissue cultured gastroepiploic artery"Life Sciences. 70(8). 1461-1470 (2002)
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[Publications] 青木克憲: "胃粘膜PrCO2による多臓器不全の予知に関する検討"日本救命医療学会雑誌. 15(1). 53-59 (2001)
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[Publications] 相川直樹, 堀 進悟, 青木克憲: "救急データブック"中外医学社. 351 (2001)