2001 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用可能な脳虚血耐性獲得法の開発-経頭蓋磁気による耐性獲得およびメカニズムの解明-
Project/Area Number |
13671625
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
原田 秀樹 久留米大学, 医学部, 助手 (30198923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 悟史 久留米大学, 医学部, 助手 (60220464)
松田 鶴夫 久留米工業大学, 知能工学研究所, 助教授 (60258598)
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Keywords | 脳虚血耐性 / 電気けいれん療法 / 前脳虚血モデル / 局所脳虚血モデル / ラット |
Research Abstract |
我々は初年度として、修正型電気けいれん療法を用いた虚血耐性獲得に着目し基礎研究を行った。 1)方法(1)ECS前処置ラツトの作製 イソフルレン-酸素吸入麻酔下に耳介にクリップ電極を装着し、1回のみ電気けいれん処置を与えるsingle-ECS群(sECS群)および連続9日間ECSを行うRepeated-ECS群(rECS群)を分けた。クリップ装着までは行うが通電による痙攣誘発を行わないラットをコントロール群とした。その後、上記3群に致死的な(1)前脳虚血あるいは(2)局所脳虚血を負荷した。 (2)脳虚血負荷と脳組織障害の評価 コントロール群ではクリップ装着、sECSでは単回ECS、rECSでは最終ECSのそれぞれ2日後に以下の脳虚血を負荷した。sECS群およびrECS群の一部では、ECS自体の脳障害の有無を調べるため虚血負荷を加えずに、sECSでは単回ECS、rECSでは最終ECS7日後にHE染色下で脳皮質および皮質下の病理学的検索を行った(Sham群)。 前脳虚血モデル 4%イソフルラン吸入で麻酔導入、気管内挿管後、40%酸素、2.0%イソフルラン吸入下にPaCO235-42mmHgの範囲で人工呼吸を行い、直腸温は37℃に調節した。椎骨動脈焼却と総頚動脈の一時的牽引を組み合わせた前脳虚血を、イソフルラン1%吸入下に8分間負荷したあと再灌流した。再灌流7日後に犠死させ、摘出脳をHE染色により海馬CA1細胞の生存率をカウントし比較した。 局所脳虚血モデル 前脳虚血モデルと同様の準備を行った後、塞栓糸を用いた中大脳動脈閉塞を45分間負荷したあと再灌流させた。脳虚血負荷時は吸入麻酔から覚醒させた。再灌流2日後に犠死させ、摘出脳をTTC染色し梗塞に陥った体積を計測した。 2)結果(1)Sham群においては、病理組織上いかなる傷害も認めなかった。 (2)前脳虚血モデル7日後の海馬CA1領域の遅発性細胞死は、sECS群、rECS群いずれにおいても細胞死が少なかった。(3)局所脳虚血モデル作製2日後の梗塞体積はコントロール群と比較し、sECS群、rECS群いずれにおいても有意に細胞死を防いだ。sECS群においてより脳保護作用が強かった。
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