2001 Fiscal Year Annual Research Report
蓚酸カルシウム結石誘発モデルでの腎上皮細胞と蓚酸カルシウム結晶の相互作用の検討
Project/Area Number |
13671630
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山口 聡 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40230354)
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Keywords | 尿路結石症 / 細胞結晶間相互作用 / 動物実験モデル / 蓚酸カルシウム結石 / エチレングリコール / 塩化アンモニウム / 蓚酸カルシウム一水和物 / 蓚酸カルシウム二水和物 |
Research Abstract |
蓚酸カルシウム結石形成の初期段階において、蓚酸カルシウム結晶と腎上皮細胞の相互作用は重要な因子の一つである。これまでその検討は、主に培養細胞を用いたin vitro実験を中心に行われてきたにすぎず、in vivo実験系においても、その結果を検証する必要性が生じている。従来、広く用いられてきた蓚酸カルシウム結石形成モデルは、腎機能障害が必発で腎上皮細胞にも高度なダメージが加わるため、細胞結晶間相互作用に関する微細な実験には適していない。そこで今年度は、細胞-結晶の相互作用の検討に適したラット蓚酸カルシウム結石誘発モデルの確立を試みた。 雄性SDラット(6週齢)に対し、以下の条件の溶液を各々の期間、自由摂水させた。実験1;Ethylene Glycol(EG)+1.0%NH_4Cl(5,7,9,11,13日間)、実験2;EG単独(7,14,21,28日間)、EG膿度は、各々の実験で0.1,0.2,0.4,0.8vol.%の4群を設定)。それぞれ投与期間別に、各種尿・血液生化学検査、尿中蓚酸カルシウム結晶と腎組織内蓚酸カルシウム結晶の沈着について検討した。 結果:実験1;EG濃度と投与期間に依存して、尿中蓚酸排泄量、蓚酸カルシウム(1水和物(COM)+2水和物(COD))結晶形成と腎組織内蓚酸カルシウムの沈着は増加していたが、平行して腎機能障害および尿細管障害が進行していた。実験2;実験1に比し、蓚酸カルシウム結晶(COD中心)形成と腎組織内蓚酸カルシウムの沈着は少なかったが、腎尿細管障害はほとんど認めなかった。 以上より、従来のin vivo実験系をmodifyすることにより、腎障害を最小限に抑制し、かつ蓚酸カルシウムの結晶尿のみを惹起させる条件の設定は可能と考えられた。そのcritical pointとして、実験1では0.1-0.2%EG+1.0%NH_4Cl,day9まで、実験2では0.4%EG,day14以降、が適当と思われた。さらに実験条件の微調整により尿路上皮に異なる種類の結晶(COD,COM)を曝露できる可能性がある。これらを応用することで、これまでin vitro実験で得られている細胞結晶間相互作用に関する研究のin vivoでの再現あるいは追試が可能となり、平成14年度に予定された本研究に円滑に移行できると思われる。
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