2003 Fiscal Year Annual Research Report
多嚢胞化萎縮腎に発現する全長型エリスロポエチン受容体の機能解析
Project/Area Number |
13671658
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
野村 芳雄 大分大学, 医学部, 教授 (90040550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三股 浩光 大分大学, 医学部, 助教授 (60219714)
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Keywords | 多嚢胞化萎縮腎 / エリスロポエチン / EPO受容体 / IκB / NFκB / 嚢胞形成 |
Research Abstract |
[緒言]これまでにわれわれは多嚢胞化萎縮腎(ACDK)において尿細管上皮、間質細胞および嚢胞内腔上皮にエリスロポエチン(EPO)が発現しているのに対し、EPO受容体は尿細管上皮と嚢胞内腔上皮のみに発現していること、そしてこれらEPO受容体発現細胞で増殖能が高いことを明らかにしてきた。またヒト初代培養近位尿細管細胞ではEPOによってIκBのリン酸化とNFκBの活性化が起こることを明らかにした。今回はヒト近位尿細管細胞を用いてEPOの細胞内シグナル伝達であるSTAT経路について検討した。 [方法]1)ヒト初代培養近位尿細管細胞にEPO刺激後を加えimmunoblot法でSTATのリン酸化について検討した。2)低酸素状態またはシスプラチン処理後にEPOを添加してSTAT経路の活性化についてimmunoblot法で検討した。 [結果]1)ヒト初代培養近位尿細管細胞はEPOの細胞内シグナル伝達経路であるEPO受容体およびSTAT5を発現していた。2)EPO刺激によってSTAT5発現量は変わらないが、STAT5のリン酸化は微量でEPO刺激による変化は測定できなかった。3)低酸素状態やシスプラチン処理によってSTAT5の発現量は減少したが、EPO刺激によるSTAT5の発現量やリン酸化の変化はみられなかった。 [考察]ヒト初代培養近位尿細管細胞ではEPO刺激によってNFκBを抑制するIκBのリン酸化が促進されるものの造血細胞系でみられるSTAT5のリン酸化は観察されなかった。ヒト近位尿細管細胞ではEPO受容体の発現量が少ないためSTAT5のリン酸化がみられなかった可能性があり、今後はEPO受容体をtransfectionした近位尿細管細胞を用いて細胞内シグナル伝達経路を解析する予定である。
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