2001 Fiscal Year Annual Research Report
VHL遺伝子の機能解析にもとづいた腎癌の新しい治療法の基礎的検討
Project/Area Number |
13671662
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (00260787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (10217995)
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Keywords | 腎癌 / VHL遺伝子 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
VHL遺伝子は淡明細胞腎癌の50〜60%の痒例で変異・不活性化がみられる癌抑制遺伝子であり、この腫瘍の発生・進展過程で重要な働きを持つと考えられている。VHL遺伝子産物はユロンギンB/C, Cul2,Rbx1と結合しE3 ubiqutin liase complexを形成し、hypoxia inducible factor(HIF)のユビキチン化と分解に関与していることが最近明らかとなった。しかし腎癌の発生機構におけるVHL遺伝子の役割についてはまだ不明の部分が多い。我々はこれまでに、尿細管上皮細胞の細胞密度増加に伴う増殖抑制においてVHL蛋白が関与することを見出してきた。今回その増殖抑制の分子機構の解明を目標に検討を行なった。正常VHL遺伝子が欠損したヒト腎癌細胞株786-Oにアデノウイルスベクターを用いて野生型VHL遺伝子を再導入し、細胞密度による遺伝子発現の変化を、約12,000個の遺伝子を含むmicroarrayを使い網羅的に調べた。その結果、空ベクターを感染させた細胞とVHL発現ベクターを感染させた細胞との間の遺伝子発現パターンの差は高細胞密度下でより顕著であった。これまで知られているように血管内皮増殖因子(VEGF)をはじめとしたHIFの転写調節下に存在する遺伝子群に加え、がん遺伝子や細胞周期に関連する遺伝子群を含む複数の遺伝子の発現変化を見出した。これらの結果からVHL遺伝子はHIF/VEGFの系に代表される血管新生以外に未知の重要な機能にも関与していることが示唆された。これらの発現変化が見られた遺伝子群を中心に今後解析を進め、VHL遺伝子やその下流に存在する遺伝子を標的にした腎癌の新たな診断や治療法について検討を行う予定である。
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