2001 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子発現プロファイルに基づく卵巣癌化学療法剤の選択と分子的治療剤の検索
Project/Area Number |
13671690
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八重樫 伸生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00241597)
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Keywords | 卵巣癌 / マイクロアレイ / 化学療法 |
Research Abstract |
初年度の研究として、まず卵巣癌の遺伝子発現プロファイルを作成し、卵巣癌治療に寄与する分子標的遺伝子群を検索した。東北大学医学部附属病院に入院し手術を施行した卵巣癌26例および正常卵巣7例を対象とし、遺伝子解析の同意を得て摘出標本からmRNAを抽出した。さらにcDNAに逆転写した後cRNAを合成しoligonucleotide array法を用いて6500遺伝子のRNA発現を検出した。Affymetrix softwareで得られたAverage Differenceをクラスター解析およびU-testによって統計解析した。 1)クラスター解析では組織型別の遺伝子発現プロファイルには大きな違いは見られず、卵巣癌の発生過程には共通の遺伝子発現変異の存在することが示唆された。 2)U-test解析で発現増加97遺伝子、発現低下227遺伝子を抽出した。 3)治療抵抗性の明細胞腺癌と漿液性腺癌を比較し、前者に特異的に発現が変化する遺伝子群を探索した、その結果、明細胞腺癌ではブレオマイシンの分解酵素の発現が低下していた。 4)分子標的として興味深い癌関連の既知遺伝子の発現増加(Aml-1=Evi1,HER3,ear-2、βtublin,GSTπ、c-erb-B2,nm23)や、発現低下(BRCA2,p57,IGFBP5,6,TGFB1BP)が見られた。 このようにcDNAチップによる発現プロファイル作成は新たな分子標的の探索に非常に期待されるが、さらに症例数を増やして検討する予定である。 なお以上の内容は第60回、日本癌学会総会(横浜)で発表した。
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