2002 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤絨毛細胞が発現するHLA抗原の妊娠における免疫学的役割に関する研究
Project/Area Number |
13671698
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 知行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40209010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上妻 志郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10272569)
三木 明徳 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50316767)
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Keywords | HLA-G / 脱落膜 / リンパ球 / サイトカイン / ナチュラルキラー活性 / 漢方 / 習慣流産 |
Research Abstract |
1.水溶性HLA-G抗原が,脱落膜リンパ球からのサイトカイン分泌に及ぼす影響ついて。 昨年度の研究で、末梢血リンパ球からのサイトカイン分泌に対して、水溶性HLA-Gが膜結合型HLA-Gと反対に作用し、その働きを調節していることが判明した。本年度は、水溶性HLA-G抗原が、脱落膜リンパ球からのサイトカイン分泌に及ぼす影響を検討した。その結果、脱落膜リンパ球は、膜結合型HLA-G蛋白を認識すると、tumor necrosis factor(TNF)-α、あるいはinterferon(IFN)-γといったT helper 1(Th1)サイトカインの分泌を減少させることがわかっているが、水溶性HLA-G蛋白を認識した場合も、これと同様に、TNF-αやIFN-γといったTh1サイトカインの分泌を減少させることが判明した。すなわち、脱落膜内においては、水溶性HLA-Gは膜結合型HLA-Gと協調的に作用していると考えられた(論文投稿中)。 2.水溶性HLA-G抗原が、末梢血リンパ球のナチュラルキラー(NK)活性に及ぼす影響について。 膜結合型HLA-Gは、末梢血リンパ球のNK活性を抑制することがすでに報告されている。そこで、本年度、水溶性HLA-Gが末梢血リンパ球のNK活性にどう作用するか検討した。その結果、膜結合型HLA-Gと異なり、水溶性HLA-Gはそれ自身では末梢血リンパ球のNK活性に影響を与えないことがわかった。また、膜結合型HLA-Gを発現している細胞に対するNK活性を検討しても、わずかに膜結合型HLA-GのNK抑制作用を促進する傾向があるものの、ほとんど影響が認められなかった(論文投稿中)。 3.習慣流産に対する漢方治療(柴苓湯ならびに当帰芍薬散)の免疫学的作用機序。 自己免疫異常である抗リン脂質抗体症候群による習慣流産の治療として、我国では柴苓湯ならびに当帰芍薬散を用いた漢方治療が行なわれている。これらの漢方治療について総合的に検討した(文献1)。
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Research Products
(1 results)