2001 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞発育・排卵過程におけるM-CSFの役割とその臨床応用
Project/Area Number |
13671731
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 信幸 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (80227157)
|
Keywords | 卵胞発育 / 排卵 / M-CSF / poor responder |
Research Abstract |
まずは、hMG反応不良排卵障害症例に対する卵胞発育改善効果に関し、より効果的なM-CSFの投与量や投与期間の検討を行った。過去のhMG療法において成熟卵胞発育が全く認められないか、認められてもわずか1個であったhMG poor responder症例で、informed consentの得えられた症例に対して、hMGとともにM-CSF(ロイコプロール)の併用療法を行った。事前に、各症例の内因性GHの分泌予備能をみるためにクロニジンテストを施行した。hMG 150 iu/dayをday3より開始し、M-CSF800万単位をday3より隔日3回、あるいは隔日7回点滴静注した。なお、IVF-ET症例においてはGnRHa(スプレキュア)をshort protocolでday2より併用投与している。 その結果、クロニジンテスト正常群(内因性GHの分泌予備能が正常)では7/8例、7/9周期において径18mm以上の卵胞発育を少なくとも2個以上認め、hMG使用量も減少した。このうち2例に妊娠が成立し、1例は分娩に至り、健児を得ている。クロニジンテスト低反応群(内因性GHの部分的分泌不全)では3/5例、3/6周期において径18mm以上の複数の卵胞発育を認めた。一方、クロニジンテスト無反応群(内因性GHの分泌不全)では5例、6周期においてM-CSF併用療法を行ったが、18mm以上の卵胞発育を認めたのは1例、1周期のみであった。 以上の結果から、M-CSFは卵胞発育に促進的に作用し、特にGH分泌予備能が保たれているpoor responder症例に対して有効と考えられ、現在、さらなる症例の追加ならびに各発育段階にある卵胞や顆粒膜細胞におけるM-CSF・c-fmsの発現とその局在についても検討を進めている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Y.Okamura: "Protein tyrosine kinase expression in the porcine ovary"Molecular Human Reproduction. 7. 723-729 (2001)
-
[Publications] 田中信幸: "排卵誘発法の最近の進歩"産婦人科治療. 83. 30-33 (2001)
-
[Publications] 田中信幸: "排卵のメカニズム"産婦人科の世界. 53. 61-69 (2001)
-
[Publications] 田中信幸: "卵胞発育から排卵過程におけるCSF-1の役割"産科と婦人科. 67. 574-580 (2000)
-
[Publications] N.Tanaka: "Supplementary macrophage colony-stimulating factor (M-CSF) treatment on poor ovarian responders to gonadotropins"Frontiers in Endocrinology. 21. 43-49 (1999)
-
[Publications] K.Nishimura: "Changes in macrophage colony-stimulating factor concentration in serum and follicular fluid in in-vitro fertilization and embryo transfer cycles"Fertility and Sterility. 69. 53-57 (1998)