2001 Fiscal Year Annual Research Report
超音波微小変位計測法を用いた胎児心臓機能の発達過程と評価法に関する研究
Project/Area Number |
13671747
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
篠塚 憲男 帝京大学, 医学部, 講師 (50282645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 浩一郎 帝京大学, 医学部, 助手 (40312003)
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Keywords | 胎児 / 超音波 / 心血管機能 / パルスドプラ / 変位計測 / 心拍数 |
Research Abstract |
既存の超音波診断装置ソノビスタColor(持田)のハードウェアの改造を行い、超音波ドプラの位相信号を外部出力し、デジタル直交検波により、約1.7mm間隔で連続した32チャンネルのデータを外部コンピュータで処理できるシステムを構築した。本システムでは、約55mm範囲の胎児組織の動きを理論上micrometerの精度で計測可能である。胎児心臓はほぼこのサンプリング幅に入る大きさであり、本システムでは心筋、弁、心房など個々の細かな動きを別個に計測できることが示された。現在記録可能なモードはFFTモード、ドプラ位相信号から計算される微小変位と瞬時周波数などである。本手法を用いれば心臓弁膜信号のみを高精度に検出できるため、従来の胎児心拍記録装置より精度の高い心拍計測が可能であることが示された。また、位相座信号から直接心拍推定を行う方法として、複素相関法(動きの方向を加味した2次元での自己相関法)を開発し、従来の方法に比べシミュレーションでははるかに高い精度(数bpm)で心拍計測が可能なことを示した。従来の装置は、超音波ドプラ信号のサンプリングに関して、大きな探触子で、連続波に近いパルスドプラであることより空間分解能がなく、また信号のエンベロープによる自己相関により胎児心拍数を推定しているため、条件の良いときには比較的精度は高いものの、条件によっては心拍ごとの変動を議論する精度を持たないことが問題であったが、本手法により超音波ドプラ法を用いても心電図に近い精度での胎児の心拍計測が可能なことが示された。臨床例では胎児徐脈症例で心房と心室の動きを同時に計測することにより完全房室ブロックであることが容易に診断できた。本計測系を胎児大動脈の変位計測に応用することにより、胎児血圧に関与する動脈の拍動波形を記録可能なことを示した。以上より開発中のシステムは胎児心血管系の機能評価、発達評価に臨床上有用な情報を提供可能な方法論であると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shinozuka N: "Ellipse Tracing Fetal Growth Assessment Using Abdominal Circumference: JSUM Standardization Committee for Fetal Measurements"J Med Ultrasound. 8(2). 87-94 (2000)
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[Publications] 篠塚憲男: "デジタル直交検波を用いたマルチチャンネルドプラシステムによる胎児心拍、胎動の総合モニタリングシステムの開発"医用電子と生体工学. 38(2). 93 (2000)
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[Publications] Yoshida S: "Determination of Fetal Size form 20 Weeks of Gestation Onward Correlates with Birth Weight"J Obstet Gynaecol Res. 27(4). 205-211 (2001)
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[Publications] 山越芳樹: "超音波信号の直接デジタル検波と複素相関を用いた胎児心拍数推定"電子情報通信学会論文誌. J84-A(12). 1414-1420 (2001)
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[Publications] 篠塚憲男: "胎児well-beingの評価"臨床産科婦人科. 55(5). 618-621 (2001)