2002 Fiscal Year Annual Research Report
HSV1型変異株を用いた卵巣癌腹膜播種に対する新規遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
13671760
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Research Institution | Aichi Cancer Center |
Principal Investigator |
那波 明宏 愛知県がんセンター, 研究所, 研究員 (90242859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 幸廣 名古屋大学, 大学院・ウイルス感染, 教授 (60115615)
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Keywords | 増殖型HSV1型変異株 / immuno-competent mouse / 腹膜播種 / syncytial formation / 同系移植マウスモデル |
Research Abstract |
平成13年では卵巣癌治療に適した抗腫瘍効果を有する新規ヒト単純ヘルペスウイルス(HSV)を開発する目的で増殖型(replication-competent) HSVを改変し、その1つのクローンをHR522とした。さらに、その治療効果を評価するために、卵巣癌腹膜播種ヌードマウスモデルにおいて、卵巣癌に対する代表的抗癌剤であるtaxolとの治療効畢を比較検討した。この結果については現在投稿中である。平成14年はC3Hマウス(immuno-competent mouse)とNfSa肉腫細胞同系腹腔内移植マウスモデルにおけるmutant HSV-1 (HF10)の治療効果およびmutant HSV-1の遺伝子解析を主に行った。HF10は既存のreplication-competent HSV-1であるhrR3株よりもマウス延命の点でその治療効果がより強力であることが判明した。HF10の腹腔内連続投与により、9例中8例が腫瘍移植後90日以上の生存を示した。さらに、この生存した8例のマウスにNfSa肉腫細胞を再移植したところ、全例のマウスにおいて、NfSa肉腫細胞の移植拒絶が認められた。他の腫瘍においての拒絶が認められなかったことから、HF10の腹腔内連続投与によりNfSa肉腫細胞に対して特異的な腫瘍免疫反応が惹起されたことが推察された。HF10のin vitroにおける感染細胞に対する特徴として、syncytial formationを引き起こす。このため、できうる限り、その遺伝子解析を試みた。野生株と比較して、1)ULとUL/IRLとのjunction右側部分に3.9-kbpの遺伝子欠損が認められた。2)結果として、UL56蛋白の発現が認められなかった。3)TRL部分における2.3kbpの遺伝子欠損、4)TRL側UL部分におけるUL遺伝子のrearrangementが認められた。これらの遺伝子変異とHF10のsyncytial formation型CPEの関連については現在検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takakuwa H, Nawa A, Nishiyama Y, et al.: "Oncolytic viral therapy using a spontaneously generated herpes simplex virus type 1 variant for peritoneally disseminated tumor in immunocompetent mice"Archives of Virology. (in press).
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[Publications] Nicolson GL, Nawa A, et al.: "Tumor metastasis-associated human MTA1 gene and its MTA1 protein product: role in epithelial cancer cell invasion, proliferation and nuclear regulation"Clinical experimental metastasis. (in press).