2001 Fiscal Year Annual Research Report
鼓膜の陥凹・癒着と真珠腫進展への促進ならびに阻害因子の研究
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13671805
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
森山 寛 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 教授 (60125036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康広 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (40266648)
辻 富彦 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (30236880)
小島 博己 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 講師 (60234762)
櫻井 裕 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (20297386)
宮崎 日出海 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (30277082)
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Keywords | 真珠腫上皮細胞 / 分化と細胞死 / サイトカイン / 上皮化促進因子 / 中耳腔ガス換気能 / PKC / 鼓膜上皮のmigration |
Research Abstract |
鼓膜の陥凹、癒着や真珠腫への進展機序について様々な角度から検討を行ってきている。真珠腫上皮においても正常皮膚上皮と同様に上皮細胞の分化・細胞死の機構は保たれている、すなわち炎症が起こると、上皮下の炎症細胞よりサイトカインが産生され、上皮の増殖を促進するが、上皮細胞の分化と細胞死は因子によって調節され、最終分化と細胞死はあ正常通り行われる。そして、これらによって生じたdebris自身が再び上皮や上皮下組織に影響を与え、増殖を導くのであろうと考えられたが、粘膜上皮の上皮化促進因子については検討中である。なお、途中経過であり、いくつかの研究項目が同時進行している。 1)臨床病態の解析:鼓膜の陥凹・癒着症や真珠腫およびその中間型(前真珠腫)の臨床所見、術前・後の検査、手術所見などより、その病態を検討している。 2)乳突洞の気泡化の検討:鼓膜癒着症例にCT検査を行ない、気泡化の程度、とくに下鼓室の気泡化について検討し、鼓膜癒着の程度との関係を検討している。 3)中耳粘膜の生理機能の検討:鼓膜癒着症の前段階の病変である滲出性中耳炎の中耳圧と中耳腔ガス換気能について経時的に観察し、中耳粘膜の生理的な機能について検討している。 4)動物モデルよりの実験:癒着性中耳炎様の動物実験モデルを用い、中耳圧の変化やガス換気能の状態と中耳粘膜の障害程度(組織学的所見)、および鼓膜癒着の過程について検討している。 5)表皮の最終分化機構の解析とその制御:細胞の最終分化に深く関与するinvolucrin、各種のPKC(Protein kinase C)についても検討している。 6)鼓膜上皮のmigrationについての検討:鼓膜陥凹部に色素を付着させ、週単位で鼓膜を観察し、陥凹・癒着部のmigrationの有無やその方向について検討している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiromi Kojima, et al: "Molecular biological diagnosis of congenital and acquired cholesteatoma on basis of differences in telomere length"Laryngoscope. 111. 867-873 (2001)
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[Publications] 辻 富彦: "鼓膜癒着症の成因に関する研究-特に中耳含気腔における粘膜機能について-"耳鼻咽喉科展望. 44. 326-344 (2001)